【仕事のせいで眠れない 20~50代男性の3~4割】

2016年11月14日
朝日新聞

眠れないのは仕事のせい――。20~50代の男性の3~4割程度が、仕事が睡眠確保の妨げになっていると考えていることが、厚生労働省が14日に発表した国民健康・栄養調査でわかった。睡眠6時間未満が男女全体の約4割を占め、2005年以降で最多。厚労省は「仕事の比重を見直すなど工夫して十分に睡眠をとってほしい」としている。

昨年11月、20歳以上の男女計約7千人を調べた。睡眠時間では6時間未満が全体の39%を占め、07年の28%から増加傾向だった。

睡眠時間を確保する妨げとなっていることを尋ねると、20~50代の男性で「仕事」が最も多く、31~40%にのぼった。

20代の女性では、33%が「就寝前に携帯電話、メール、ゲームに熱中すること」が睡眠の妨げとなっていると答え、最も多かった。30代女性では「育児」が32%で最も多かった。

【ご参考】平成27年「国民健康・栄養調査」の結果 厚生労働省

【ご参考】平成 27 年国民健康・栄養調査結果の概要 厚生労働省(PDF:1.2MB)

ユニオンからコメント

睡眠時間の不足している人が増加していて、その主な理由として(仕事)を挙げる人が多いことが厚生労働省の調査結果からわかったというニュースです。平均睡眠時間5時間未満の人は8.4%に上り、この10年間の調査結果で最も多くなっています。

不眠や寝不足が続いているのに、「忙しいから仕方ない」「休日にゆっくり眠ればいい」と甘く考えてしまうことは禁物です。
実際、ソーシャルハートフルユニオンに訪れる精神障害の人、特に気分障害(うつ病・双極性障害)の人の話によると、ほとんどの人が初期の自覚症状は「不眠だった」と言います。さらに、不眠が続いてしまうと、日中ボーっとして仕事のミスが目立ったり、処方された睡眠薬のせいで(ろれつ)がまわらなかったりしてしまい、そこから職場トラブルになってしまうケースが少なくありません。

うつ病の人のほとんどが不眠に悩んでいます。そして、それとは逆に、不眠が続いている人の多くが、うつ病を発症しています。うつ病などが原因の睡眠障害は、なかなか寝つけない(入眠障害)や、夜中に目が覚めてしまい、再び眠ることができなくなる(早朝覚醒)が特徴的です。(不眠症)とは、夜、眠ろうとしても寝つけなかったり、何度も目が覚めたり、睡眠が浅かったりしてきちんと眠れない状態です。そのせいで一晩中苦しみ、次の日には身体の不調を感じてしまいます。

寝つきが悪くて困っているのか、夜中に目が覚めて困っているのか、睡眠が浅く疲労感が残って困っているのか、そして、週のうち何日眠れないのか、などを自分で把握することが大切です。急に眠れなくなった人では、生活のパターンが変化したことがきっかけになっていることも多いようです。帰宅時間が早くなった、配置換えで出社時間が遅くなったなど、(これまで睡眠不足気味だった人が、十分な睡眠時間を確保できるようになった)場合、夜中に目が覚めるようになるケースが多いようです。この場合には、不眠になる前の生活パターンに戻して、やや睡眠不足(7時間以内)の状態にすることが効果的です。

また、「どうして眠れなくなったのか」の理由も重要です。精神的なストレスが解決されないままでいると、眠ろうとしても頭が冴えて寝つけなくなります。さらに、「今日もまた眠れなかったらどうしよう」が一番の心配事だという場合は特に注意が必要です。眠れなかったらという心配で眠れなくなる、眠れないからまたそれが心配になるという悪循環になってしまうからです。

慢性的に睡眠不足の状態でいると、日中は疲労感に悩まされ、仕事への集中力が低下してミスばかりといった事態になりかねません。さらに不眠症が悪化すると昼寝もできず、夜も昼も眠れない状態になってしまいます。このような場合には、治療が必要なレベルの不眠症かも知れないと考え、医師の診断を検討してみるべきでしょう。
また、社内にメンタルヘルスの相談窓口が設置されている会社なら、産業医やカウンセラーに相談してみることも効果的です。相談相手がいることで、思いがけない意外な解決法が見つかることもあるからです。

不眠や寝不足は、心と身体に変調をきたしているサインだと捉えて、決して見逃さない。そのくらいの意識が必要です。日ごろから自分のメンタルヘルスに対して高い認識を持つことが、過労死・自殺の予防へとつながるのです。

出典元:朝日新聞・厚生労働省発表