【ブラック企業に勤務「4人に1人」 連合系の組織が調査】

2016年10月29日
朝日新聞

会社勤めの人のうち、4人に1人が「自分の勤め先が『ブラック企業』にあたる」と思っているとの調査結果を、労働組合の中央組織・連合のシンクタンク「連合総研」が28日発表した。20~30代の男性では3人に1人にのぼった。

首都圏や関西圏在住で、民間企業で働く20~64歳の男女2千人を対象に、今月1~6日にインターネットで調査した。違法・悪質な労働条件▽違法な長時間労働▽残業代未払い▽パワーハラスメント▽極端に離職率が高い、などの特徴がある企業を「ブラック企業」と定義し、勤め先が該当すると思うかを聞いた。

「思う」(「そう思う」「どちらかというとそう思う」の合計)と答えた人は24.6%。男女とも若年層の割合が高く、30代男性は33.1%、20代男性は32.4%にのぼった。雇用形態別では、正社員(28.1%)の方が非正社員(17.8%)より約10ポイント高かった。

「思う」と答えた正社員のうち、年収400万円未満が45.1%、1週間あたりの平均実労働時間が50時間以上の人が35.6%を占めた。「思わない」と答えた正社員では、年収400万円未満は36.0%、平均実労働時間50時間以上は18.0%だった。

また、「思う」と答えた人では、約6割が働きがいを感じていない▽4人に1人が勤め先を「すぐにでも変わりたい」と考えている▽正社員の3人に1人、非正社員の4人に1人が最近6カ月間に長時間労働で体調を崩した経験がある――との結果も出た。

連合総研の麻生裕子主任研究員は「長時間労働などの違法状態を続ける『ブラック企業』の状況は改善されていない。労働組合を中心にチェックを強め、企業に改めさせることが必要だ」と話している。

【ご参考】公益財団法人 連合総合生活開発研究所(連合総研)ホームページ

【ご参考】「勤労者の仕事とくらしについてのアンケート調査」発表資料(PDF:1.3MB)

【ご参考】「ブラック企業に関する調査」日本労働組合総連合会(連合)※2014年11月28日発表(PDF:601KB)

ユニオンからコメント

「はたらいている人の4人に1人が、自分の会社はブラック企業だと思っている」という調査結果が連合総研から発表されたというニュースです。

【勤務先はブラック企業だと思う!は4人に1人、20代では3人に1人】
こちらは、およそ2年前に連合が調査した「現在の勤務先はいわゆる『ブラック企業』だと思うか?」という質問に対する回答の集計結果です。驚くことに、前回(2年前)と今回の結果がほぼ同じでした。さらに、自分の勤務先がブラック企業だと思う人の理由も「長時間労働」や「自主退職への追い込み・強要が行われているから」と同様ですから、この2年間でまったく改善されていなかったともいえる結果になりました。

「ブラック企業」という言葉が流行することに、何の意味もありません。
劣悪な労働環境ではたらいている人が、「うちはブラック企業だから」で済ましていたり、あきらめていたりするようでは問題の解決にならないのです。
今回の調査では、過去6カ月間に長時間労働が原因で体調を崩した経験があると答えた人が、正社員では33.7%、非正社員では24.4%に上りました。この状態が長く続けば、いずれ過労死や精神疾患・自殺に直結してしまいかねません。
また、勤務先がブラック企業だと考える人は、転職について「すぐにでも変わりたい」と回答する人が多いものの、「転職先が見つからない」「どこも似たような環境だと思う」などの理由で具体的に検討していないケースが多いようです。

調査結果からも明らかなように、社会や会社から変わることを待っていてはなかなか改善しません。はたらく人にも、「自分の身は自分で守る」という心構えが必要です。
長時間労働やパワハラについては、「みんなが我慢しているから」ではなく、「これ以上我慢できない」という小さなサインを見逃さないようにしてください。
特に、障害者は再就職の厳しさから我慢や無理を重ねてしまいがちです。しかし、根本的な問題が解消しなければ、いずれ退職せざるを得なくなったり、はたらけなくなったりしてしまいます。解決が難しい悩みを職場で抱えてしまったときには、ソーシャルハートフルユニオンまで気軽に相談してください。

出典元:朝日新聞・連合総研発表