【平成 27 年「労働安全衛生調査(実態調査)」の結果】

2016年10月13日
厚生労働省

厚生労働省では、このほど、「平成 27 年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果を取りまとめましたので、公表します。
労働安全衛生調査は、周期的にテーマを変えて調査を行っており、平成 27 年は、第 12次労働災害防止計画の重点施策を中心に、事業所が行っている労働災害防止活動及び安全衛生教育の実施状況等の実態並びにそこで働く労働者の労働災害防止等に対する意識について調査を行っております。
今回の調査では、17 大産業に属し常用労働者を 10 人以上雇用する民営事業所のうちから無作為に抽出した約 14,000 事業所並びに当該事業所に雇用される常用労働者及び受け入れた派遣労働者のうちから無作為に抽出した約 18,000 人を調査客体とし、それぞれ 9,223 事業所及び 10,335 人から有効回答を得ました。

【ご参考】平成27年 労働安全衛生調査(実態調査) 厚生労働省

【ご参考】平成 27 年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況(PDF:868KB)

【ご参考】前回の調査結果(平成25年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況)(PDF:516KB)

ユニオンからコメント

厚生労働省が、企業の安全衛生管理・労災防止活動及び安全衛生教育の実施状況の実態を調査して結果を公表しました。

概況の中から、メンタルヘルスについてを詳しく見てみます。
前回の調査(平成25年 労働安全衛生調査)では、「過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は退職した労働者がいる【事業所の割合】は 10.0%」と発表されました。
ところが今回の調査では、「過去 1 年間にメンタルヘルス不調により連続 1 か月以上休業した【労働者の割合】は 0.4%、退職した【労働者の割合】は 0.2%」と発表しています。
きちんと見なければ、メンタル不調者が10.0%から0.4%(0.2%)に下がったような印象を受けます。
総務省統計局(2016年9月30日公表)の労働力調査結果に基づいて、雇用者数を5722万人とすると、過去 1 年間にメンタルヘルス不調により連続 1 か月以上休業した人が約22.9万人、退職した人は約11.4万人ということになります。これは決して少ない人数とは言えません。

「メンタルヘルス不調」とは、どのような状態をいうのでしょう。
厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、「精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺のみならず、ストレスや強い悩み、不安など、労働者の心身の健康、社会生活及び生活の質に影響を与える可能性のある精神的及び行動上の問題を幅広く含むものをいう」と定義しています。
つまり、職場や仕事に関する「不安、悩み、ストレス」を解消できない状態のことです。

ストレスについて、調査結果を見てみます。
現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスを感じている人の割合は 55.7%でした。主な内容は、「仕事の質・量」が 57.5%、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が 36.4%、「仕事の失敗、責任の発生等」が 33.2%となっています。
そして、「不安、悩み、ストレス」について相談できる人がいると回答した人は 84.6%でしたが、相談相手は「家族・友人」が83.1%でした。実際に「家族・友人」に相談した人が77.7%いますが、ストレスが「解消された」人は31.1%でした。

この調査結果は、見方を変えると「職場でストレスを抱えても家族にしか相談できない。相談してもストレスが解消されないまま、休職・退職していった人が1年間で34万人いた」と見ることもできます。

「メンタルヘルス不調」が原因で不本意な休職・退職にならないためには、不安や悩みを相談できる人がいることが大切です。しかし現実には、仕事の量やセクハラ・パワハラなどの問題を抱えたとき、家族や友人に相談しても根本から解決することは難しいことです。なぜなら、家族・友人が会社に乗り込んで話し合うことはなかなか出来ないからです。

ソーシャルハートフルユニオンのように資格を認められた労働組合であれば、解決に向けて会社と(強制力を持って)話し合うことも出来ます。職場での不安、悩み、ストレスを抱えてしまったときには、いつでも気軽に相談してください。

出典元:厚生労働省発表