【虚偽求人に罰則 厚労省検討会報告書 ブラック企業対策、懲役刑も】

2016年6月4日
産経ニュース

厚生労働省の有識者検討会は3日、公共職業安定所(ハローワーク)や民間の職業紹介事業者に労働条件を偽った求人を出した企業と幹部に対し、懲役刑を含む罰則を設けるべきとする報告書をまとめた。過酷な労働で若者らの使い捨てが疑われる「ブラック企業」と求職者のトラブルを防ぎ、求人詐欺への牽制(けんせい)を狙う。
報告書を受け、今秋以降の労働政策審議会で議論を本格化させ、職業安定法の改正を目指す。

厚労省によると、ハローワークの求人内容が実際の労働条件と異なるとの相談は、調査を始めた平成24年度は7783件だったが、25年度(9380件)、26年度(1万2252件)と増加傾向にある。賃金をめぐるトラブルが最多で、就業時間や仕事内容の相談なども目立つという。
職安法は労働条件の明示を企業に義務付けており、企業が自社サイトなどで直接募集して採用する際には、虚偽情報に対する罰則(6月以下の懲役または30万円以下の罰金)がある。だが、ハローワークなどに虚偽の求人を出しても、是正を求める行政指導はできるものの、罰則がなく、規制の不備が指摘されていた。
報告書では、待遇のほか、正社員での採用や残業がないことなど、実際よりも好条件をうたった虚偽の求人を出す企業への対策として、「罰則の整備など求職者保護の強化を図ることが適当」と結論付けた。また、これまで規制がなかった求人雑誌など情報提供事業者についても、条件の明示義務などのルールを定めることが必要とした。
検討会では、委員から「出すべき情報を出さない場合も罰則対象とすべき」との意見もあり、労政審で具体案をさらに協議する。

厚生労働省発表 2016年6月6日

【ご参考】雇用仲介事業等の在り方に関する検討会 報告書

【ご参考】雇用仲介事業等の在り方に関する検討会報告書(PDF:317KB)

ユニオンからコメント

ハローワークを通じた(求人・就職)でないと各種助成金が出ないため、障害者の求人はハローワークに集中しがちです。会社と面接して直接採用されたはずなのに、改めてハローワークを通じて就職したように装ってほしいと頼んでいた会社もありました。
「入社してみたら求人内容と違っていた」という相談はこれまでにも数多く寄せらています。今回の報告から議論が一気に進み、虚偽求人が減少することを期待します。

出典元:産経ニュース・厚生労働省発表