【世界成長を上方修正、18年は3.1%に・・・世銀】

2018年1月10日
読売新聞

世界銀行は9日、世界全体の実質成長率の見通しを上方修正すると発表した。
2018年は3.1%と見込み、17年6月時点の予想から0.2ポイント引き上げた。米国や日本、欧州(ユーロ圏)など先進国が堅調で、新興国も貿易の拡大が続くとみている。

米国の実質国内総生産(GDP)の伸び率は18年を2.5%とし、0.3ポイント引き上げた。法人税率の引き下げを柱とする大型減税が実現したことで、企業の設備投資が拡大して景気を押し上げると見込んだ。19年は2.2%とした。

日本は輸出と国内需要が堅調に推移し、18年を1.3%へと0.3ポイント上方修正し、19年は0.8%とした。欧州や中国、ブラジルも18年の予想を引き上げた。

ユニオンからコメント

世界銀行が世界全体の実質成長率の見通しを上方修正したというニュースです。

世界銀行とは、日本を含む加盟国189カ国が共同で運営する国際機関のことです。

【ご参考】【世界銀行について】世界銀行

世界全体の経済成長率が上方修正され、日本では株価や物価が上昇傾向にあるようです。実質賃金もおよそ1年ぶりに0.1%とわずかながら上昇しました。一方、格差の広がりは激しさを増しています。2018年が誰にとっても素晴らしい1年になることを願っています。

【11月の実質賃金0.1%増 11カ月ぶりに上昇】

厚生労働省が9日発表した昨年11月の毎月勤労統計調査(速報)で、物価変動の影響を除いた賃金の動きを示す実質賃金指数は前年同月比0.1%増だった。先月発表された10月の速報値は同0.2%増だったが、確報値で同0.1%減に修正されており、11カ月ぶりに上昇に転じた。石油などエネルギー価格が上がった影響で消費者物価指数も上昇したため、実質賃金指数の上げ幅は0.1%にとどまった。(2018年1月9日 朝日新聞)

【ご参考】【毎月勤労統計調査 平成29年11月分結果速報】厚生労働省(PDF:128KB)

【生活保護世帯が過去最多=6カ月連続増】

厚生労働省は10日、昨年10月に生活保護を受給した世帯は前月より634世帯多い164万2907世帯だったと発表した。6カ月連続で増え、過去最多を更新した。65歳以上の高齢者世帯の受給増が要因とみている。一時的な保護停止を除く受給世帯の内訳を見ると、「高齢者」が86万5332世帯と全体の5割以上を占め、うち約9割が単身だった。高齢者以外では「傷病者・障害者」が42万25世帯、「母子」が9万2655世帯、失業者を含む「その他」が25万6408世帯だった。(2018年1月10日 時事通信)

2018年は「労働」に関するルール変更が数多く控えている1年でもあります。4月1日から「障害者雇用率」が2.2%へと引き上げられ、「無期転換ルール」も始まります。棚上げになっている「同一労働同一賃金」の議論も活発になるでしょう。副業・兼業やテレワークを推進する制度・整備は一気に進展しそうです。

【会社員の副業・兼業を推進へ】

厚生労働省の有識者検討会は19日、会社員の副業や兼業を推進するためのガイドライン(指針)をまとめた。企業に対して、業務に支障がない限り、労働者が希望すれば副業や兼業を原則認める方向で検討するよう求めている。厚労省は来月にも全国の労働局を通じて指針を周知するが、経済団体などから慎重な声も出ている。
検討会は、企業が就業規則を作成する際の参考のために示している国の「モデル就業規則」について、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という項目を削除し、事前に会社に届け出れば原則として兼業や副業ができるよう内容を変更することも決定。企業は本業の仕事に影響したり、企業秘密の漏えいにつながる場合などに禁止や制限ができるとした。副業や兼業の推進には慎重な意見もあり、経団連の榊原定征会長は18日の記者会見で、本業がおろそかになるなどとして「会員企業に推奨しない」との考えを表明。検討会に参考人として出席した連合の村上陽子総合労働局長は「労働時間が把握できないと推進は難しい」と指摘した。(2017年12月19日 毎日新聞)

【ご参考】【第6回柔軟な働き方に関する検討会】厚生労働省

【ご参考】【副業・兼業の促進に関するガイドライン(案)】厚生労働省(PDF:216KB)

【ご参考】【モデル就業規則改定(案)(副業・兼業部分)】厚生労働省(PDF:184KB)

(労・使)双方から慎重論が出される中、翌週の平成29年12月25日には、検討会は打ち切られてしまい「報告書」だけが公表されました。厚生労働省は「この報告を踏まえ、今後、雇用型テレワーク、自営型テレワーク、副業・兼業のガイドライン等の策定・改定を行い、柔軟な働き方の普及促進や環境整備を図っていきます」と高らかに宣言しています。
「柔軟に働くかどうか」は私たち自身が決める問題です。労使から慎重論が出ていたにもかかわらず議論を打ち切ったのであれば、これまで何を検討していたのでしょうか。

【ご参考】【「柔軟な働き方に関する検討会」報告を公表します】厚生労働省

もう1つ、私たちが注意深く見ていかなければならないことがあります。それは、平成29年12月27日に開催された「労働政策審議会労働条件分科会」で示された、「新しい経済政策パッケージ」に書かれた内容です。いくつかの項目について「来年夏を目途に更なる具体化を図る」、つまり今年の夏を目途に具体化を図ると明記されていました。
「労働政策審議会」とは、厚生労働省に設置されている、労働に関連する法案を事実上決定する大きな影響力を持った審議会です。

【ご参考】【第142回労働政策審議会労働条件分科会】厚生労働省

「新しい経済政策パッケージ」には、「人生100年時代構想」「人づくり革命」といった項目が並べられています。その中の、「Society 5.0の社会実装と破壊的イノベーションによる生産性革命」という項目には「解雇の金銭解決」などがひっそりと盛り込まれていました。

【ご参考】【「新しい経済政策パッケージ」について】厚生労働省(PDF:696KB)

【Society 5.0の社会実装と破壊的イノベーションによる生産性革命】

―フリーランスやクラウドソーシングなどの雇用関係によらない働き方について、実態や課題の把握等に取り組み、その結果を踏まえつつ、来年度から、(労働政策審議会)等において、法的保護の必要性を含めた中長期的な検討を進める。
―労働者が一つの企業に依存することなく主体的に自身のキャリアを形成することを支援する観点から、副業・兼業を促進する。このため、モデル就業規則の改定やガイドラインの策定を本年度内に行うとともに、働き方の変化等を踏まえた実効性のある労働時間管理の在り方や労災補償の在り方等について、労働者の健康確保に留意しつつ、(労働政策審議会)等において検討を進める。
―解雇無効時の金銭救済制度について、「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」の検討結果を踏まえ、可能な限り速やかに、(労働政策審議会)において法技術的な論点についての専門的な検討に着手し、同審議会の最終的な結論を得て、所要の制度的措置を講じる。

経団連がしきりに持ち上げていた「Society 5.0」は、『サイバー空間とフィジカル空間(現実社会)が高度に融合した「超スマート社会」を未来の姿として共有し、その実現に向けた⼀連の取り組み』と説明されていたはずです。

【ご参考】【経団連、国連の開発目標実現へ】

経団連が「すべての人に働きがいのある人間らしい雇用」をと迫る(SDGs)の実現に、「なぜSociety 5.0を活用するのか」という違和感を拭えませんでしたが、この資料から真相が浮き彫りになりました。「破壊的イノベーションによる生産性革命」とは、「雇用関係によらない働き方」「労働者が一つの企業に依存することなく」「解雇無効時の金銭救済制度」といった、「労働習慣や労働ルールを破壊する」ことだったのです。

すべての労働者を非正規化することで「非正規という言葉をなくす」、無期転換ルールの導入と引き換えに「金銭による解雇を認める」、長時間労働の是正を掲げ「高プロ・裁量労働制を拡大する」。これら経団連の悲願を実現するための回りくどい道筋が「Society 5.0」ということだったのでしょう。2018年は、「人生100年会議」に巧妙に隠された深層が表面化するスタートの1年になるのかもしれません。

【ご参考】【人生100年会議、初会合】

出典元:読売新聞・世界銀行・朝日新聞・厚生労働省・時事通信・毎日新聞