【総人口1億2693万人 16万2000人減 6年連続マイナス】

2017年4月15日
東京新聞

総務省が14日公表した2016年10月1日時点の人口推計によると、外国人を含む総人口は1億2693万3千人で、前年から16万2千人減少した。マイナスは6年連続。

日本人は過去最大となる29万9千人の減少を記録したが、外国人の増加が総人口をやや補った。人口減少は40道府県にわたり、増加は7都県。増加率トップは東京の0.80%だった。
安倍政権は地方創生を看板政策に掲げているが、東京一極集中に歯止めがかからない実態が示された。

少子高齢化により、働き手の中心となる15~64歳の「生産年齢人口」は7656万2千人。全体に占める割合は60.3%で、第二次世界大戦の影響が残る1951年(60.0%)に続く低さだった。

日本人は1億2502万人で、うち出生児は98万8千人と初めて100万人を割り込んだ。
日本人と外国人を合わせた総人口は、年間に亡くなった人の数と生まれた赤ちゃんの数の差を示す「自然動態」がマイナス29万6千人だった。一方、出入国者数の差を示す「社会動態」は、外国人の増加数が最多となったため13万4千人のプラス。自然動態と社会動態を合わせると、マイナス幅は16万2千人となった。総務省は「東日本大震災の影響などが一段落し、働きに来る外国人がさらに増えている」と分析している。

人口が減った40道府県のうち、21道府県は減少幅が拡大。減少率が最も高かったのは秋田の1.30%で青森、高知が続いた。人口増の7都県は埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、福岡、沖縄。埼玉、愛知、福岡3県は増加幅が拡大した。

年代別のうち、0~14歳は1578万人で、全体に占める割合は12.4%と過去最低。逆に、65歳以上は3459万1千人と最高の27.3%を占め、75歳以上の割合は13.3%に達した。

ユニオンからコメント

総務省が人口推計データを発表したというニュースです。日本の人口は6年連続で減少、過去最多だった2008年から、およそ110万人減少しました。1年間の出生児と死亡者の差「自然動態」のマイナス幅は1950年以降で最多、65歳以上人口の割合が上昇していますから、少子高齢化がいっそう加速していることをデータは示しています。

【ご参考】【人口推計(平成28年10月1日現在)】総務省統計局

人口推計は、国勢調査の結果をもとに毎月の人口移動などを加味して推計するデータで、毎年4月に前年の10月時点の数値を公表しています。
2015年度国勢調査の確定値は、2016年10月27日に公表されています。

【ご参考】【75歳以上人口、子ども上回る 15年国勢調査確定値】

「人口推計」以外に、国勢調査の結果をもとに作成されたデータが2つ公表されています。
日本の将来の人口を予測する「将来推計人口」と、50歳まで一度も結婚したことがない人の割合を示す「生涯未婚率」です。

【50年後日本8808万人 人口減ペース緩和】

厚生労働省は10日、2065(平成77)年の日本の人口が、最も実現性が高いとされるケースで8808万人まで減るとする将来推計人口を発表した。

15年の1億2709万人に比べ50年間で3901万人(30.7%)減少するが、最近の合計特殊出生率(女性が生涯に産む子供の推定人数)の向上や平均寿命の延びを反映し、65年に8135万人まで減るとされた5年前の前回推計に比べ、人口減少のペースは緩和するとしている。65歳以上の割合である高齢化率(15年=26.6%)も65年に38.4%まで膨らむが、前回推計の40.4%よりは高齢化の進行は収まることになる。平均寿命は15年に男性が80.75歳、女性が86.98歳だったのが、65年には男性が84.95歳、女性が91.35歳まで延びる。高齢者数のピークは42年の3935万人。高齢化率は53年に38%を超え、それ以降は38%台前半で推移する。(2017年4月11日 産経新聞)

【ご参考】【日本の将来推計人口(平成29年推計)】厚生労働省(PDF:1.44MB)

【生涯未婚率、男性23%・女性14% 過去最高】

50歳まで一度も結婚したことがない人が2015年に男性で4人に1人、女性で7人に1人いたことが、国立社会保障・人口問題研究所の調査で分かった。

こうした人の割合を示す「生涯未婚率」は、10年の前回調査から男女とも3ポイント以上増えて過去最高を更新した。研究所は5年に1回、国勢調査を分析して生涯未婚率を割り出している。今回は男性が前回調査比3.23ポイント増の23.37%、女性は同3.45ポイント増の14.06%だった。男性は1970年まで、女性は60年まで1%台が長い間続いたが、その後、増加傾向に拍車がかかっている。同研究所が昨年9月に公表した出生動向基本調査によると、「いずれは結婚したい」と考える18~34歳の未婚者の割合は男性85.7%、女性89.3%だった。高水準だが、「結婚資金」や「結婚のための住居」の確保が障害と考えている人が多く、研究所の担当者は「非正規労働者の増加も生涯未婚率の上昇に影響している」とみている。(2017年4月5日 朝日新聞)

【ご参考】【人口統計資料集 2017年版】国立社会保障・人口問題研究所

【ご参考】【第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)】国立社会保障・人口問題研究所

生産年齢人口は、1995年の国勢調査では8726万人でした。
その後減少傾向を続け、2015年国勢調査では7728万人にまで減っています。将来の生産年齢人口は、2029年に7000万人、2040年に6000万人、2056年に5000万人を下回り、2065年は4529万人と推計されています。

生産年齢人口に対する従属人口を比較し、生産年齢人口の扶養負担の程度を表す指標(従属人口指数)では、2015年現在の(働き手2.3人で高齢者1人を扶養)が、2023年に(働き手2人で1人を扶養)、2065年には(働き手1.3人で1人を扶養)と推計されています。

生産年齢人口とは、人口統計で使われる用語で、生産活動の中心となる(15~64歳)の人口をいい、生産年齢人口以外の人口を従属人口といいます。大まかにいえば(生産年齢人口=労働力人口)です。

2016 年8月に公表された報告書「働き方の未来2035」には、「日本は少子化、高齢化による人口減少、労働力人口の減少、加えて地方は過疎化という大きな課題に直面している」と書かれています。

【ご参考】【働き方の未来2035】厚生労働省(PDF:336KB)

この報告書は、「AIが今後、使われるようになる分野は、広告、マーケティングを筆頭に、教育や金融、医療、さらには、法律、人事など多岐に渡る」、「専門性を要求する仕事であっても、それがある程度パターン化できるのであれば、AIによって自動化される可能性は高い」と指摘しています。

さらに、AI やVRの技術革新によって(時間・空間・年齢・性別)の壁がない「多様な働き方」が主流となる。雇用ルールは変化し、「会社に頼らない」「労働者のすべてが非正規」の時代が到来するだろうと予測しています。

報告書の最後には、【「どんな会社に入るか」ではなく、「どんな仕事をするか」「どんな会社を創るか」を人生の選択肢として考え行動し、変化に対応していってほしい】と書かれています。これを言い換えると、「これからの仕事はすべて自己責任で」となります。

人口統計などのあらゆるデータは、日本の少子高齢化・労働力人口減少を裏付けています。「人生の選択肢として考え行動し、変化に対応して」と言われるまでもなく、「自分にできて、AIにできない仕事は何か」を考えなければならない時代が近づいています。

出典元:東京新聞・総務省統計局・産経新聞・厚生労働省・朝日新聞・国立社会保障・人口問題研究所