【求人倍率1.40倍、25年2か月ぶり高水準】

2016年11月29日
読売新聞

厚生労働省が29日午前に発表した10月の有効求人倍率(季節調整値)は1.40倍で、25年2か月ぶりの高水準となった。

有効求人倍率の上昇か横ばいは49か月連続。正社員の有効求人倍率は0.89倍で、正社員を区分して統計をとるようになった2004年11月以降で最高となった。

有効求人倍率は、求人票を受理したハローワークごとの受理地別、実際に仕事をする就業地別ともに、2か月ぶりに全都道府県で1倍を超えた。受理地別では最高が東京都の2.07倍、最低が沖縄の1.00倍だった。

新規求人(原数値)は前年同月比1.1%減だった。産業別では教育、学習支援業(10.0%増)、宿泊、飲食サービス業(3.5%増)は伸びた一方、学術研究、専門・技術サービス業(6.6%減)、情報通信業(6.5%減)などが全体を引き下げた。

【ご参考】「一般職業紹介状況(平成28年10月分)について」厚生労働省

ユニオンからコメント

有効求人倍率が25年ぶりの高水準だったことが厚生労働省の発表からわかったというニュースです。

(有効求人倍率)とは、「仕事をしたい人」に対する「会社が募集している人数」の割合で、景気とほぼ一致して動くことから景気動向を示す指数の一つになっています。
この倍率が「1.00」を上回っていれば「人を探している企業が多い」、下回っていれれば「仕事を探している人が多い」ことになります。
有効求人倍率が25年ぶりの高水準だったということは、景気が良くなっていると考えられるのか。もう一つの指数である、完全失業率も発表されています。

【10月完全失業率、前月から横ばいの3.0%】

2016年11月29日
読売新聞

総務省が29日午前に発表した労働力調査によると、10月の完全失業率(季節調整値)は前月と横ばいの3.0%だった。

完全失業者数(同)は前月比5万人減の197万人となり、1995年2月以来、21年8か月ぶりに200万人を下回った。

完全失業者数は、男性が同6万人減の120万人、女性は同1万人増の77万人だった。このうち、「非自発的な離職」が同4万人減って53万人で、「自発的な離職(自己都合)」が同2万人減の83万人だった。完全失業率を男女別でみると、男性が3.2%で前月から0.1ポイント改善、女性は2.7%で0.1ポイント悪化した。

完全失業率は95年以来となる低い水準を維持している。総務省は「雇用情勢は引き続き改善傾向で推移している」と分析している。

【ご参考】「労働力調査(基本集計)平成28年(2016年)10月分」 総務省統計局

有効求人倍率だけでなく、完全失業者の数も21年ぶりに200万人を下回ったと発表されました。これだけを見ると、景気が上向いているように思えます。

(完全失業率)とは、15歳以上のはたらきたい人(労働力人口:15歳以上人口から非労働力人口を差し引いた数)のうち、仕事を探しても仕事に就くことのできない人(完全失業者)の割合です。非労働力人口は、仕事をしない学生・専業主婦・高齢者などの人数です。

日本の総人口が減少に転じたというニュースはユニオンでも取り上げました。
75歳以上人口、子ども上回る 15年国勢調査確定値
そもそも日本の人口が減少しているなか、65歳以上人口は前月比で4万人増加していますから、失業者が前月比5万人減ったという数字にはあまり意味がありません。
失業者の数は減っていても、失業率が変わっていないのですから、雇用環境は改善していないと見るべきでしょう。

また、正社員の求人倍率は0.89で1を下回っていますから、飲食業などでアルバイトの募集人数が増加しているともいえます。アルバイトなどの非正規雇用の処遇改善については「働き方改革」でテーマとして取り上げられたばかりです。実際の賃金が上がっていかなければ景気は良くなりません。

【野菜高騰で買い控えか・・・10月消費支出マイナス】

2016年11月29日
読売新聞

総務省が29日発表した10月の家計調査(速報)は、1世帯(2人以上)あたりの消費支出が28万1961円だった。

物価変動の影響を除いた実質で前年同月比0.4%減少し、8か月連続のマイナスとなった。

項目別に見ると、野菜や穀類などの「食料」が1.0%減と3か月連続で前年を割り込んだ。夏場の天候不順でホウレンソウやレタスなど生鮮野菜の価格が高騰し、消費者が購入を控えたとみられる。燃費不正問題の影響で軽自動車の販売不振が続き、自動車を含む「交通・通信」は0.1%減少した。

総務省は個人消費の基調判断について、「弱い状況」のまま据え置いた。

【ご参考】「家計調査(二人以上の世帯)平成28年(2016年)10月分速報」総務省統計局

【実質賃金の増加、0.8%に縮小 9月確報】
厚生労働省が22日発表した9月の毎月勤労統計調査(確報値)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月に比べ0.8%増えた。速報からプラス幅は0.1ポイント縮小した。名目賃金は前年同月と比べてほぼ横ばいだったが、消費者物価指数の下落傾向が実質賃金を押し上げている。名目賃金にあたる現金給与総額は26万4820円。このうち基本給にあたる所定内給与が24万359円だった。(2016年11月22日 日本経済新聞)

【ご参考】「毎月勤労統計調査 平成28年9月分結果確報」厚生労働省(PDF:248KB)

賃金が上がらなければ誰でも消費を控えますから、消費支出は減少します。それが続けば消費者物価指数を下落させかねません。総務省が9月30日に発表した全国消費者物価指数は前年同月比0.5%下落し、6か月連続のマイナスでした。
消費者物価指数の下落が押し上げるはずの実質賃金の増加率も減少していますから、「景気は良くない。まだまだ厳しい」という実態がニュースから浮き彫りになっています。

出典元:読売新聞・厚生労働省・総務省統計局発表