【教えて!SDGs】

2017年7月17日
ソーシャルハートフルユニオン

今から13年後の2030年までに、地球環境の悪化を食い止め、貧困や格差の問題などを解決しよう――。193のすべての国連加盟国が合意した目標が、SDGs(エスディージーズ:Sustainable Development Goals)と呼ばれる「持続可能な開発目標」です。SDGsは、国や政府、企業だけでなく、私たち一人一人にも取り組みを求めています。

【ご参考】【持続可能な開発のための 2030 アジェンダ】外務省(PDF:0.99MB)

【ご参考】【持続可能な開発目標(SDGs)】GCNJ

【持続可能な日本、アピール 国連会合、外相が初出席へ】

米ニューヨークの国連本部で開かれる閣僚級会合を含む「政治フォーラム」に、岸田文雄外相が初出席する。(SDGsの)日本の取り組みを知ってもらうのが目的だが、国内認知度はまだ低い。「政治フォーラム」の「自主的レビュー」には、日本を含む44カ国が参加。映像やスピーチなどで自国の取り組みを紹介する。2015年にSDGsが国連総会で採択された後、日本が自主的に進捗(しんちょく)状況を国連に報告するのは初めて。外相自ら演台に立ち、意気込みを示す。政府は昨年5月、SDGs推進本部を設置し、同年末に実施指針をまとめた。ただ各省庁から寄せられた施策を盛り込んだこともあり、総花的(そうばなてき:関係者すべてに利益・恩恵を与えるやり方で否定的な意味)な色彩が濃い。ドイツのベルテルスマン財団が今年まとめた報告書によると、日本は貧困やジェンダー、エネルギー、気候変動の分野で評価が低く、こうした分野を底上げする具体的な道筋は描けていない。(2017年7月17日 朝日新聞)

「世界経済フォーラム(ダボス会議)」が公表した男女格差指数では、日本のランキングは144か国中111位と過去最低でした。いくつかの分野で取り組みの遅れが目立つ日本は、外務大臣が国連でスピーチしたり人気芸能人にあやかったりと、世界にSDGsの取り組みをアピールすることに必死です。

【ご参考】【「世界経済フォーラムが「ジェンダー・ギャップ指数2016」を公表】内閣府

SDGsについて、朝日新聞が2017年5月10日から「教えて!SDGs」のタイトルで12回の連載記事を掲載しました。記事を抜粋しながら、SDGsが私たち一人一人に求めている取り組みについて見てみます。

【国連でSDGsができるまで】

国連は開発の進め方を「将来の世代の欲求をみたしつつ、現在の世代の欲求も満足させる」と規定。世代をまたいで節度ある開発を目指す概念は、その後の国際協力の潮流となった。
1992年には国連環境開発会議(地球サミット)が開かれ、気候変動枠組み条約が採択された。この条約を起点として、温暖化対策の協議が重ねられ、パリ協定(2015年)の枠組みにつながった。国連は2013年から様々な分野の専門家を招いて新たな話し合いを始めた。新たに設定された目標がSDGs。2年半の政府間会合で17分野の目標と、169のターゲットが決まった。SDGsは、15年9月の国連サミットで全会一致で採択された文書の一部にあたる。「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」という文書だ。そこでは「(世界中の人々が)共同の旅に乗り出すにあたり、誰も置き去りにしないことを誓う」と宣言。目指すべき世界像を「人類の理想」とともに書き込んでおり、格調高いものとなっている。(2017年5月10日 朝日新聞)

【気候変動、どんな影響があるの?】

「雨は減ったが、極端な大雨が増えた」「2000年以降の気候が全く違う」。
世界各地で起きている異常気象は、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出による地球温暖化が一因とみられている。世界の平均気温は19世紀後半に比べて約1度上がった。SDGsは、「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」(目標13)とする。取り組みの中心となるのは、国連気候変動枠組み条約だ。SDGsの採択は15年9月。その3カ月後、パリで新たな国際ルール「パリ協定」が採択された。気候変動を始めとする環境分野の項目は、SDGsの土台をなしている。この土台が崩れると、社会や経済などは持続可能なものとはならない。日本でも影響は深刻だ。稲穂が出る時期や、コメが成長する時期に高温になるとコメが白く濁る。ブドウやリンゴは色づきが悪くなり、多くの農作物で収穫に悪影響が出ている。極端な大雨や台風が起き、被害も大きくなっている。損害保険料率算出機構が14年、自然災害による損害に支払われる火災保険料の目安となる料率を改定したのは、地球温暖化も背景にあった。環境省が3月にまとめた温室効果ガス削減の長期戦略案では、50年に80%の排出削減を目指すため、「極めて大きな社会変革に取り組む必要がある」としている。(2017年5月20日 朝日新聞)

【環境白書骨子案、SDGsを記述】

政府の2017年版「環境・循環型社会・生物多様性白書」の骨子案が19日、自民党部会で示された。国連の持続可能な開発目標(SDGs)を初めて盛り込み、環境に配慮した経済発展や自然資源の活用の重要性を改めて打ち出す。骨子案では15年に採択されたSDGsを第1章で紹介。人間の生活が豊かになった一方で、地球環境が限界に達しつつあると、地球温暖化の進行や生物多様性の劣化の状況から指摘、SDGsに取り組む意義や国内外の取り組みを解説した。(2017年4月20日 朝日新聞)

【ご参考】【環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書】環境省(PDF:3.14MB)

【エシカル消費でSDGsな暮らし】

環境や人々、社会、地域に配慮したお金の使い方と、それにもとづくライフスタイルは「エシカル消費」と呼ばれる。エシカルは「倫理的」という意味。「エコ」や、健康と持続性を重視して生活する「ロハス」もエシカルだ。有機野菜を選ぶこともその一つ。化学肥料や農薬を使わず、環境への負荷が少ないからだ。地元のものを買えば、輸送による二酸化炭素の発生が減り、地域の活性化にもつながる。途上国の労働環境を改善して生活を向上させるために、適正な価格で製品や原料を買い取る仕組みが「フェアトレード」だ。SDGsの目標12は「つくる責任、つかう責任」。エシカル消費が広がれば「質の高い教育をみんなに」(目標4)「ジェンダー平等」(目標5)などの目標達成にも近づける。だが、エシカルを知らない人はまだ多い。消費者庁が16年、2500人へ実施したアンケートでは、認知度は4.4%だった。日々の買い物は、世界の様々な課題を解決する力となり、地球の未来につながっている。(2017年5月27日 朝日新聞)

【「倫理的消費の普及を」 消費者庁が報告書】

消費者庁は19日、有識者による「エシカル(倫理的)消費」の調査研究会の最終報告書を公表した。国内での認知度はまだ低いとして、学校教育などで取り上げる重要性を提言した。エシカル消費とは、貧困や環境破壊など社会的課題の解決につながる商品やサービスを選んで買うこと。その取り組みは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)とも重なる。報告書では、学校で使える教材作りや、企業が商品の製造過程について情報発信することなどを提案している。(2017年4月20日 朝日新聞)

【ご参考】【「倫理的消費」調査研究会】消費者庁

SDGsが採択されたとき、「我々は、貧困を終わらせることに成功する最初の世代になり得る。同様に、地球を救う機会を持つ最後の世代にもなるかも知れない」と宣言されました。
この宣言は私たち一人一人に向けられたものです。食品ロスを減らす、差別をしないなど、私たちが身近なところから始められることも少なくありません。

【SDGsを支える人を育てる】

琵琶湖の湖面がのぞいて見える大津市の市立打出中学。1年生がSDGsについての特別授業を受けた。講師は国連でSDGsの責任者を務めるトーマス・ガス事務次長補。「世界はつながっていることを忘れないで。世界中のみんながよく生きられるようにする責任が、みんなにもある。困っている友達を助けることから始まるよ」。SDGsの達成期限である2030年。生徒たちにとって、格差や不平等をなくし(目標10)、気候変動で対策をとり(目標13)、自然環境の悪化を食い止める(目標14、15)ことは、自分たちの将来にかかわる問題だ。3月末に公表された小中学校の新学習指導要領では、「持続可能な社会の創り手となる」など、SDGsに関係する文言が多く盛り込まれた。とくに中学校では、「持続可能」がいまの5カ所から20カ所に、「グローバル化」は1カ所から7カ所に増えた。子どもたちと、その子どもたちが暮らす世界を、今よりよい世界に。SDGsの達成は、確かな未来を残す前提となっている。(2017年6月3日 朝日新聞)

出典元:外務省・GCNJ・朝日新聞・内閣府・環境省・消費者庁