【「無期転換」制度導入前に雇い止めなどの相談強化】

2017年5月9日
毎日新聞

来年4月から、パート従業員や派遣社員といった有期雇用の労働者が同じ職場で5年以上働いた場合、本人が申し込めば雇用期間を定めない無期労働契約に転換できる「無期転換」の制度が始まる。だが、これを前に雇用主が契約更新を打ち切る「雇い止め」が増えると懸念され、連合や北海道労連はルールの周知を図るとともに、相談体制を強化している。

「5年を超えて働く人はもう雇用できない」。
今年度の契約更新を前に、札幌市では児童会館で働くパート職員ら約160人の契約打ち切りが言い渡された。相談を受けた道労連などの支援で団体交渉をした結果、約140人の契約は今年度も更新された。雇用主は「雇い止め」を否定しているが、道労連は「無期転換前を狙った打ち切りで、許されない」と指摘する。

無期転換の制度は2013年4月施行の改正労働契約法で規定された。同年4月以降の契約からが対象で、例えば同年4月から1年更新で働いてきた人の場合、契約期間が5年を過ぎる来年4月の更新時に無期転換の申し込みが可能になる。

半年や1年ごとに契約更新を繰り返す有期労働契約は、アルバイトや契約職員など非正規社員に多い。総務省によると有期契約で働く人は全国で推計約1549万人とされている。

働く側にとっては、無期転換後も賃金や労働時間などの条件は原則同じままだが、定年まで雇用が確保される。雇用主は無期転換の申し出を拒否できない。このため、社会保険料など新たな負担増を嫌う雇用主側が、転換前に雇い止めする恐れもあるとして、道労連は警戒。4月から札幌市で市民講座を開くなどして、ルールの周知や理解を深めてもらっている。

連合北海道でも、6月以降に労働者向けの勉強会を開く予定だ。連合に所属する日本郵政グループ労組(JP労組)など、既に前倒しで無期転換を進める取り組みを始めている労働組合もあるが、年間1300件近く寄せられる労働相談の中には、雇い止めへの不安を訴える声も多い。担当者は「非正規労働者は労組に入っていないことが多く、相談できる人は一部。多くは泣き寝入りしているだろう」と話す。

ユニオンからコメント

「無期転換ルール」の開始を前に、「雇い止め」の増加が懸念されています。
連合などがルールの周知や相談体制を強化するとしていますが、ソーシャルハートフルユニオンでも、無期転換申し入れに関する相談を受け付けています。

無料労働相談会に参加する、ホームページの相談窓口から投稿するなど、気軽に相談してください。

【ご参考】【「無期転換ルール」と有期雇用契約の更新について】

出典元:毎日新聞