【枯れ葉剤の被害者をマラソンで支援 日本・ベトナム有志が計画】

2017年1月9日
朝日新聞

ベトナム戦争で米国が散布した枯れ葉剤の影響で障害を負った人々を支援しようと、日本とベトナムの有志がチャリティーマラソン大会を計画している。女子マラソンの五輪金メダリスト高橋尚子さんも賛同。今月15日にホーチミン市でプレ大会を開き、来年1月に本大会の開催を目指す。

大会の発起人は、1970年からベトナム戦争を撮り、終戦後も枯れ葉剤の被害を記録し続けている報道写真家の中村梧郎さん(76)=さいたま市。ベトナムでは国による社会福祉制度が乏しい。枯れ葉剤で障害を負った人やその家族が貧しい生活を余儀なくされていることや、枯れ葉剤の問題が風化していることを伝えたいと活動を始めた。

■ドクさん参加予定
中村さんの呼びかけに、ベトナムでは元外交官らが協力に名乗りを上げ、スポンサーが集まり、プレ大会にこぎ着けた。枯れ葉剤の影響で結合双生児として生まれ、分離手術を受けたグエン・ドクさん(35)も、障害のある子どもたちと一緒に参加する予定だ。

ただ、日本ではまだ賛同者が少ない。賛同を表明した2000年シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんは朝日新聞の取材に、「10年ほど前にお話を伺い、何とか協力したいと思ってきた。18年の開催を聞き、うれしいです。大会に参加できればと願っています」と話した。

米軍によって散布された計7200万リットル(推定)の枯れ葉剤のひとつは、英語で「エージェント・オレンジ」という。有毒のダイオキシンを含み、多くのベトナム人や米兵ががんなどの病気に侵された。子や孫の世代にも結合双生児や水頭症、知的障害などの先天性障害児が生まれ、ベトナムでは現在も多くの人が障害や病気と向き合っている。

大会名を「オレンジ・マラソン」と名付けた中村さんは、「誰でも知っているみずみずしく甘酸っぱい果物で、南国を連想させる明るいイメージがある。でもその裏に、ベトナムの被害者を忘れてほしくないという思いを込めた」と話す。

ユニオンからコメント

ベトナムで計画されているチャリティーマラソン大会に、ソーシャルハートフルユニオンのサポーターをしていただいているグエン・ドクさんが参加する予定です。興味のある方は「オレンジ・マラソンの会」事務局(03-3357-3377)までお問合せください。

出典元:朝日新聞