【ファミレスのジョイフル、パートら1万7千人無期雇用へ】

2018年2月13日
朝日新聞

ファミリーレストランの「ジョイフル」などを展開するジョイフル(大分市)は13日、パートタイムやアルバイトで働く約1万7千人を無期雇用に転換すると発表した。
4月1日から実施する。

外食業界で人手不足が深刻さを増すなかで、「雇い止めの心理的な不安をなくす」(同社広報)ことで、働きやすい環境をつくるねらいという。

これまでは、原則として1年ごとに有期の雇用契約を更新してきた。無期雇用への転換は、関東や東海、関西など各地で店舗運営などにあたる子会社も含めて実施する。

対象になるのは、フランチャイズ店舗を除いた国内の約750店舗や工場、配送センターなどで働くパートとアルバイトの全員。昨年末時点で計1万6929人という。働いた年数には関係なく、全員を無期に切り替える方針だ。今年4月1日以降に入社するパートやアルバイトとの雇用契約は、全員が無期で結ぶという。

改正労働契約法によって4月1日以降、有期の雇用契約を繰り返し更新して5年を超えた働き手は、無期雇用への転換を申し込むことができる。人手不足に悩む小売業などで、人材確保や働きやすさ向上などのため、無期への転換を進める動きが出ている。厚生労働省や日本フードサービス協会(東京)によると、今回のジョイフルはそうした中でも比較的規模が大きいとみられるという。

ユニオンからコメント

ファミリーレストラン大手のジョイフルが、パート・アルバイト全員を4月1日から無期雇用に切り替えることを発表したというニュースです。

勤続5年に満たない人やこれから採用する人すべてに適用するということですから、実質、「有期雇用という雇用形態を撤廃する」と宣言したことになります。4月1日の無期転換ルール施行をものともしない、素晴らしい決断だと高く評価できます。これからは、一歩先を行く雇用制度改革に取り組む会社こそ、「持続可能な企業」たり得るのでしょう。

【ご参考】【クレディセゾン、全従業員を正社員に】

一方で、見苦しいほど「無期転換ルール」から逃れようとしている企業もあります。トヨタ自動車やホンダなど日本を代表する大手自動車メーカーのすべてが「5年ルール」を避ける仕組みを作り上げていたことが明らかになっています。

【ご参考】【無期雇用 法改正、骨抜きに】

2017年11月8日に改定された経団連「企業行動憲章」には、「SDGsの達成」が明記されました。大手自動車メーカーのすべてが、経団連に名を連ねていることは言うまでもありません。経団連が「本憲章の精神を遵守し、自主的に実践していくこと」を求めているSDGsの目標8には「すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する」と書かれています。

【SDGs(8-5)2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する】

【ご参考】【企業行動憲章】一般社団法人日本経済団体連合会

【ご参考】【会員一覧(企業会員)】一般社団法人日本経済団体連合会(PDF:160KB)

4月1日から始まる「無期転換ルール」は、「完全雇用」を実現させる取り組みの第一歩です。ようやく議論が本格化し始めた「同一労働同一賃金」は、「働きがいのある人間らしい仕事」の実現に結び付きます。また、正社員と非正規社員に存在する不合理な待遇格差が労働契約法第20条に違反しているとの判決も出されています。

「すべての人々に、ディーセント・ワークを」は、もはや時代の趨勢といえます。法律の抜け穴ばかり探している大手自動車メーカーと同じような体質の企業には、この流れが容赦なく襲いかかり「持続可能」を難しいものにしていくことになるでしょう。

【パートの通勤手当、半額は違法 運送会社に賠償命令】

通勤手当が正社員の半額なのは違法だとして、北九州市の運送会社「九水運輸商事」のパート社員の男性4人が差額分の支払いなどを求めた訴訟の判決で、福岡地裁小倉支部(鈴木博裁判長)は13日までに、「不合理な格差で労働契約法に違反する」と判断し、会社側に計約120万円の支払いを命じた。判決によると、同社は通勤手当について、正社員は月1万円、パート社員は月5千円を一律に支給していた。裁判長は、正社員もパート社員も北九州市内の卸売市場での作業が中心で、いずれも多くの人がマイカー通勤していると指摘。「パート社員の方が、通勤時間や通勤経路が短いといった事情もなく、手当の違いは不合理と言わざるを得ない」と述べた。皆勤手当を廃止した点についても「不利益の程度が大きい」として違法性を認め、未払い分を支払うよう命じた。(2018年2月13日 産経新聞)

【労働契約法】第20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

出典元:朝日新聞・一般社団法人日本経済団体連合会・産経新聞