【終業から始業、最低でも11時間・・・長野県が試行】

2017年9月22日
読売新聞

長野県は21日、県庁で勤務する職員を対象に、終業から翌日の始業まで一定時間を空ける「勤務間インターバル制度」を、10月から試験導入すると発表した。

同制度は、政府が「働き方改革」の一環として普及に取り組んでいるが、県によると、都道府県職員への導入は初めて。

県警などを除く約1800人が対象で、終業から最低でも11時間の休息を確保する。通常勤務は午前8時半~午後5時15分だが、例えば、午後10時まで働いた場合、翌日は午前9時開始となる。県の規定で、勤務開始は遅くとも午前10時となっているため、前日の午後11時以降の勤務は原則として認められない。

窓口の開設時間は変更せず、県民向けのサービスを維持する。12月末までの試行期間の状況を踏まえ、出先機関に広げていくことも検討する。

阿部守一知事は「課題を検証しながら、他県に先駆けて進めていきたい」と話している。

ユニオンからコメント

長野県が「勤務間インターバル制度」を導入するというニュースです。

【ご参考】【県庁において「勤務間インターバル制」の試行を実施します】長野県

【勤務間インターバル「最低11時間を」】

長野県は21日、勤務を終えた後、次の勤務が始まるまでに最低11時間の休息を確保する「勤務間インターバル制度」を10月2日から試験的に導入すると発表した。厚生労働省によると、同制度を導入した都道府県は他に把握していないといい、自治体の「働き方改革」では先進的な事例となる。災害や感染症が発生した場合などは例外とする。政府が3月にまとめた「働き方改革実行計画」は、勤務間インターバル制度について事業主に導入の努力義務を課すことを盛り込んだ。だが、厚労省が2015年度に実施した調査によると、国内で導入している企業は2.2%にとどまっている。(2017年9月22日 朝日新聞)

「働き方改革実行計画」では努力目標に止められた、罰則規定のない制度に取り組む姿勢は高く評価できます。従業員の健康に対する意識が高い民間企業にも良い影響を与えるでしょう。その働き方改革の進め方について、労使共同のシンポジウムが開催されました。

【経団連などと連合が共同で、働き方改革シンポ】

経団連、日本商工会議所などの経済4団体と、労働組合の中央組織である連合は22日、働き方改革の推進に向けた労使共同のシンポジウムを初めて開催した。長時間労働是正に向けた企業の先進事例紹介や、取引先や中小企業などに非効率な残業や休日出勤を余儀なくさせるような商慣行の是正に向け、110の経済団体がとりまとめた共同宣言の実行を確認した。冒頭、連合の神津里季生会長が「不可解な政治事情で、労働基準法の改正などが遅れるが、労使が問題意識を共有して取り組むことが重要」とあいさつ。経団連の鵜浦博夫副会長(NTT社長)も「働き方改革実現には商慣習を大きく変えていくなどの意識改革が重要だ」と強調した。(2017年9月22日 産経新聞)

同じテーマについて、労使が垣根を越えて話し合うことには大きな意義があります。使用者側として出席した経団連には日本を代表する企業など1350社が、また日本商工会議所には中小企業125万社が会員として名を連ねています。使用者側を代表するのに十分な顔ぶれといえます。一方、労働者側として出席した連合は労働者代表たり得たのでしょうか。厚生労働省の調査結果からは、そうとも言い難い実態が浮かび上がっています。

【ご参考】【平成28年「労働組合基礎調査」の結果】厚生労働省(PDF:124KB)

公表された、過去最低の(推定組織率)17.3%とは、労働組合に加入している労働者がおよそ6人に1人ということです。さらに、そのすべてが連合に加入しているわけではありません。カウントが重複しているケースもありますが、全労連(55万人)、金属労協(20万人)、交運労協(60万人)、公務労協(116万人)など、連合以外の労働組合に所属している労働者は決して少なくはありません。

【ご参考】【主要団体への加盟状況】厚生労働省(PDF:140KB)

働き方改革を「働く人の立場に立った議論」に引き戻すには、運動方針や政治姿勢などの違いを乗り越え、労働者側が団結する必要に迫られる局面もあるでしょう。使用者側を相手にした場合、部分的に見解を統一させることは可能なはずです。労使が真っ向から対立する場面では、「経済4団体」に匹敵する、連合や全労連など主要労組が横断的に参加できるような「労働4団体」を発足させる。そんな(したたかさ)が労働者側には不足しているように感じます。

出典元:読売新聞・長野県・朝日新聞・産経新聞・厚生労働省