【LGBT人材「対応」3.6% 「検討中」は23% 上場企業民間調査】
2017年8月13日
毎日新聞
上場企業のうち、性的少数者(LGBTなど)の人材受け入れや活躍推進に積極的に取り組んでいるのはわずか3.6%で、女性や障害者、高齢者に比べ、対応が遅れていることが三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査で分かった。一方で「取り組みの検討を行っている」とした企業は23.2%に上り、手探りの状況がうかがえた。
さまざまな人材を活用するダイバーシティー(多様性)の考え方は、企業の総合力を上げる人事戦略として注目されている。調査した矢島洋子主席研究員は「LGBTに対応しているところはまだ少なく、何をすべきか分からないとの声もある」と話している。
調査は昨年12月~今年2月、上場企業168社から回答を得た。人材活用に関し、六つの項目を例示した上で、積極的に取り組んでいる企業の割合を調べたところ、「女性」が61.3%と最も多く、「LGBT」は3.6%だった。
LGBTについて「検討を行っている」は23.2%、「対応する予定はない」が57.1%だった。具体的な取り組み(複数回答)は「採用面接で性別を聞かない」が51.8%。「性的指向、性自認に関するハラスメントの規定がある」が23.2%だった。
ユニオンからコメント
民間調査会社が実施した「ダイバーシティー(多様性)推進の調査」結果から、LGBTへの対応が遅れていることがわかったというニュースです。
【ご参考】【企業におけるダイバーシティ推進に関するアンケート調査】三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(PDF:732KB)
この調査では、ダイバーシティへの取り組みについて、採用方針や配置方針など具体的な質問を掲げていて、障害者雇用に関してもいくつかの質問が用意されています。
(研修)に関する質問では、「障害者に関する理解の促進」について63.1%の会社が実施していないと答えています。全社員に研修を行った会社は約10%でした。日本が障害者権利条約に批准し、障害者差別解消法が成立、障害者雇用促進法が改正された現状を考えると、企業の問題意識は低すぎると言わざるを得ません。
また、障害者雇用に関する考え方の質問では、法定雇用率の達成が「経営戦略上重要」と答えた会社は30%に過ぎませんでした。多くの会社がコンプライアンスやCSRのために障害者雇用の推進を掲げている、つまり「障害者を雇っているのは雇用率達成のため」という本音が浮き上がりました。しかし、70%以上の会社が「障害者雇用について取り組みを検討する(始める予定)」と答えたことには期待が持てます。多くの職場で、より一層の理解が進むことを願っています。
出典元:毎日新聞・三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社