【1月の実質賃金、確報値は0.1%減に下方修正 毎月勤労統計】

2017年3月23日
日本経済新聞

厚生労働省が23日発表した1月の毎月勤労統計調査(確報値、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月に比べて0.1%減少した。名目賃金が減少し、速報段階の横ばいから下方修正となった。

従業員1人あたりの平均の現金給与総額(名目賃金)は0.3%増の26万9790円だった。速報段階では0.5%増だった。内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が0.6%増と速報値(0.8%増)から下方修正。残業代など所定外給与も0.2%減と0.2%増だった速報段階からマイナスに転じた。一方、ボーナスなど特別に支払われた給与は2.0%減と速報値の3.7%減からマイナス幅が縮小した。

パートタイム労働者の時間あたり給与は2.0%増の1106円となった。速報段階(2.5%増)から伸び率は縮小した。

ユニオンからコメント

厚生労働省が平成29年1月の勤労統計(確報値)を発表したというニュースです。

【ご参考】【毎月勤労統計調査 平成29年1月分結果確報】厚生労働省(PDF:812KB)

前年との比較ではなく、前月(平成28年12月)と比べてみても、名目賃金・実質賃金ともに下がったことがわかります。あらゆるものの値上げが続くと予想されている現状を考えると、実質賃金の下落に歯止めをかける政策は最優先されるべき課題に思えます。

【5月の電気ガス料金、大手全社が値上げ】

大手電力全10社の5月の家庭向け電気料金が4月と比べて値上がりする見通しであることが22日、分かった。火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)などの輸入価格が上がったため。5月から太陽光や風力など再生可能エネルギーの賦課金が増えることも響く。大手都市ガス全4社もガス料金を上げる見込みだ。電力、ガス全社が値上げするのは4カ月連続となる。(2017年3月22日 産経新聞)

1930年代に行われた「デフレ脱却政策」でも実質賃金の低下が起きていた。つまり、デフレを脱却するには、一時的な実質賃金下落は避けて通れないと言う経済評論家がいます。彼らは「賃金の下落は想定内であって、安倍政権の政策は間違っていない」と主張します。

いっぽう、先日政府に招かれたノーベル経済学賞受賞者は、重要なメッセージとして「日本を含む先進国経済はあまり良い状況ではない」と述べました。過去の日本の政策はうまく機能していたが、ここでもう一度、現在の情勢に適した政策を検討する必要があるとの主張です。政府は、所得分配の是正や格差を抑える必要があり、賃金の上昇をもたらすあらゆる政策を行うべきだとし、これらの問題に取り組まなければ「深刻な状況を招く」と予言しています。

これからの日本がどちらの予想に近づくのか気になるところではありますが、私たちは身近な問題への対応を迫られます。例えば、衣料や食料品・外食などの値上げなら、節約や我慢でどうにかやり過ごすこともできるでしょう。しかし、公共料金まで値上げしてしまうと、収入が増える以外の対抗手段が見当たりません。

国会で、国有地払い下げの問題を議論することは必要なのでしょう。それと同時に、足元に迫りつつある国民の不安を解消するための活発な議論も必要なはずです。政府・国会が、中長期的な政策をおろそかにすることなく、短期的な問題にも即応できる政策を打ち出してくれることに期待します。

出典元:日本経済新聞・厚生労働省・産経新聞