【テレワーク支援、ビジネスに 働く様子、カメラで確認 キヤノン】

2016年12月7日
朝日新聞

キヤノンは6日、インターネットを利用して自宅などで仕事をする「テレワーク」を支援するサービスを発表した。社員の働く様子を遠隔カメラで確認できるもので、来年2月から売り出す。政府が「働き方改革」の一環でテレワークを推進していることもあり、同業他社も関連システムの開発に力を入れている。

テレワークでは、社員が場所を自由に選んで働ける一方、企業側にとっては勤務状況の把握が難しく、社外での作業で機密情報が流出するリスクがあるといった課題がある。

そこで、キヤノンITソリューションズが売り出すサービスは、自宅などのパソコンに付けたカメラで、テレワーク中の社員を事前に登録した写真と照合。顔認証技術で本人かどうかを常時確認でき、着席中の静止画を定期的に管理者に送る。勤務時間も集計できる。本人以外の人が映ると、管理者に通報して画面の表示内容を消し、情報漏れを防ぐ機能もある。

政府の後押しもあり、社員の仕事と介護や子育てとの両立を支援するためにテレワークを導入する企業は増加傾向にある。調査会社IDCジャパンは、国内のテレワーク関連のソフトウェア市場は、2015年から年に約7%増え、19年には約2378億円になると見込む。

日立製作所も来年度から関連事業を本格化させる方針で、子会社の日立ソリューションズで、9月から社員を対象にしたテレワークの導入実験を始めた。今後、導入した部門の業績の変化を分析するシステムも開発し、業務システムなどとセットで売り込む。

富士通は、業務で使用する会社のパソコンのデータをクラウド上に保存し、自宅のパソコンからでも会社のパソコンと同じ画面を見ながら、同じ作業ができるサービスを展開している。自宅のパソコンにデータを保存できないようにし、情報流出を心配する企業などに売り込んでいるという。

ユニオンからコメント

自宅などで仕事をする「テレワーク」の支援サービスを、キャノンが発売するというニュースです。「働き方改革」で、テレワークの推進がテーマになっていることもあって、多くの企業が関連システムの開発に力を入れていると紹介しています。

テレワークとは、ITを利用して時間や場所の制約を受けず、柔軟に仕事をすることができる勤務形態のことで、いわゆる「在宅勤務」のようなはたらき方のことです。支援サービスとは、言い換えれば「ちゃんと仕事をしているか見張るシステム」のことです。

日本政府は、2003年に策定した「eJAPAN戦略II」で、2010年に1400万人をテレワーカーにする目標を設定しました。(2010年度調査結果では約980万人でした)

【ご参考】【e-Japan 戦略Ⅱ】首相官邸(PDF:1.8MB)

その後、2015年6月30日に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」において「全労働者数に占める週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数の割合」の目標を(2020年に10%以上)と設定しました。

国土交通省が調査した結果によると、現在、「全労働者数に占める週1日以上終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワーカー数の割合」は、2.7%に過ぎません。

【ご参考】【平成27年度 テレワーク人口実態調査結果】国土交通省(PDF:428KB)

(2015年に2.7%)だった割合を、(2020年に10%以上)にという目標を達成するために、政府の「働き方改革実現会議」は、「テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方」を主要テーマの一つに掲げています。

【ご参考】【働き方改革実現会議】首相官邸

【安倍首相、柔軟な働き方の指針検討を表明 テレワークや副業など】
政府は24日、関係閣僚と有識者による「働き方改革実現会議」の会合を首相官邸で開いた。議長の安倍晋三首相は柔軟な働き方を広げるため、ITを活用して職場以外の場所で働くテレワークや兼業・副業の促進に向け「ガイドライン(指針)の制定も含めて多様な政策手段について検討したい」と述べた。(2016年10月24日 産経新聞)

会社に出社せず、ネット等を活用して自宅や最寄りのサテライトオフィスなどではたらけるテレワークについては、様々な企業で取り組みが始まりました。アメリカでは、労働者の40%以上がテレワークしているというデータがあります。総務省の調査によるとテレワーク導入済み企業は2015年末で16.2%と日本ではまだまだ普及しているとはいえません。

精神障害者の中には「人とのコミュニケーションが苦手だ」と感じている人も多いので、このような柔軟なはたらき方は会社に長く勤めるのに適していると考えられます。ソーシャルハートフルユニオンに寄せられる「職場トラブル」の内容では、人間関係によるものが圧倒的に多いのが現実です。「介護や子育てと仕事の両立のため」にとどまらず、「障害者の職場定着のため」障害者雇用の現場にもテレワークを積極的に導入するような取り組みを期待します。

出典元:朝日新聞・首相官邸・国土交通省発表