【「無期転換ルール取組促進キャンペーン」を9月と10月に実施します】
2017年8月30日
厚生労働省
~ 無期転換の申込権が本格的に発生するまで半年あまり。集中的な周知を実施 ~
厚生労働省は、平成29年9月と10月に、無期転換ルールの周知や導入促進に関する要請などを行う「無期転換ルール取組促進キャンペーン」を実施します。
無期転換ルールに基づく無期転換申込権の本格的な発生が見込まれる平成30年4月まで、残り約半年となりました。企業が無期転換ルールへの対応をするにあたっては、中長期的な人事戦略・人材活用を念頭に置いた人事制度の検討や、就業規則などの関係諸規程の整備などに一定の時間を要することから、早急に対応を検討することが必要です。
また、事業主側が、無期転換ルールの適用を避けることを目的として、無期転換申込権が発生する前に有期契約労働者を雇止めすることは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいものではなく、慎重な対応が必要です。
今回のキャンペーンでは、無期転換ルールへの取組を促進し、円滑な導入を図るため、事業主団体などへの周知・啓発についての協力要請や、事業主・労働者双方からの相談に対応する特別相談窓口の設置などの取組を重点的に実施します。
ユニオンからコメント
厚生労働省が、「無期転換ルール取組促進キャンペーン」を開催します。
平成29年9月1日~10月31日までの2か月間で、集中的に周知・啓発に取り組みます。
【ご参考】【はじまります「無期転換ルール」】厚生労働省(PDF:1.22MB)
【ご参考】【「無期転換ルール特別相談窓口」一覧】厚生労働省(PDF:200KB)
【ご参考】【「無期転換ルール」と有期雇用契約の更新について】
来年4月に迫った「無期転換ルール」の導入まで残り半年になり、厚生労働省は精力的に取り組んでいるのですが、ほとんどのマスコミが取り上げません。報道されるのは、「強引な雇止め」への懸念が多いようです。
【東大「5年で雇い止め」、組合反発 有期から無期へ「ルール」発動控え】
東京大学が、「有期契約」の教職員約4800人を最長5年で雇い止めにする規則を定めていたことが分かった。有期で5年を超えて働くと、「無期契約」への転換を求めることができる労働契約法の「5年ルール」の発動を来年4月に控え、無期転換を阻止する動きだと組合側は猛反発している。無期転換を進める民間企業が増えるなか、5年ルールの「副作用」も出てきた形だ。組合によると、東大には1年契約のパートタイム労働者が今年1月時点で約5300人いる。主に学部や研究科の事務や医療・看護分野の補佐業務などを担っている。東大はこうした教職員の雇用期間の上限を就業規則で5年と定めている。5年を迎えた教職員は順次雇い止めになる。
■無期転換回避に懸念
「5年ルール」の導入が議論されていた当時から、副作用の危険は指摘されていた。無期転換を嫌う企業が強引に更新回数の上限をもうけたり、5年になる前に雇い止めにしたりする可能性があったからだ。労働政策研究・研修機構が昨年10~11月に従業員10人以上の企業を対象に実施した調査では、回答した9639社のうち、申し出があった場合に無期転換するとした企業がフルタイム労働者で35.2%、パートタイム労働者で4割あった。5年より前に無期転換する企業も合わせると、無期化に前向きな企業はフルタイム、パートとも約6割。まだ対応を決めていない企業もあり、強引な雇い止めが起きていないか来年4月まで注意していく必要がある。(2017年8月24日 朝日新聞)
【無期転換可能で雇い止め続発警戒】
労働契約法の改正に伴い、有期契約の労働者が同じ職場で5年を越えて働き続ける場合、2018年4月以降は無期雇用への転換を申し出ることが可能になる。雇用の安定を目的に導入された制度だが、権利発生を前に「雇い止め」が相次ぐとの懸念が労働組合などに広がる。新制度の周知も課題で、法にのっとった運用ができるかどうか先行きは不透明だ。
有期労働者は長年、企業から「雇用の調整弁」として扱われてきた。無期転換への阻止が目的とみられる雇い止めが紛争に発展した例が仙台地裁であり、全国各地でも労使間のトラブルが憂慮されている。連合宮城事務局長は「法の内容を全く把握していない経営者が多く、周知が課題」と指摘。宮城労働局渡雇用環境・均等室長は「本年度に相談が集中すると予測している。顕在化していないだけでトラブルは起きているとみられ、周知に力を入れたい」と語った。(2017年8月16日 河北新報)
無期転換ルールや同一労働同一賃金など、(労・使)の立場の違いが際立つルールが来年4月以降、順次導入されていく予定です。労働を取り巻く環境が大きく変わろうとする中、(政・労・使)で進めていた政策決定の会議から、(労)を外すかもしれない会議がひっそりと立ち上がりました。こちらも多くのマスコミが報道していません。
「働き方改革」には、経済界が求める規制緩和の実現、(労働者代表のいない)産業競争力会議の主導という側面があります。安倍首相の友人たちの持論を通すため、審議会では労働者側の反対を押し切って法案化させたケースもありました。「働き方改革」に潜む本質を考えると、この会議で話し合われる内容が「姑息なアリバイ作り」に使われないかを注視していく必要がありそうです。
【働き方改革の「本気度」を測る「新たな会議」に注目せよ】
内閣改造が目前に迫っていた7月31日、厚生労働省でひとつの会議が始まった。労働政策の決め方を抜本的に変えるかもしれない会議体の初会合だったが、メディアはあまり取り上げず、世間の耳目も集めていない。
その会議体の名は、労働政策審議会「労働政策基本部会」という。
これまで労働政策は、労働政策審議会(労政審)が一手に引き受けてきた。労働政策は「三者合意」によって決定するというのが戦後日本の不文律となってきた。「三者」とは「労働者代表」「使用者代表」「公益代表」の三者で、そこには「政治」の意思は反映されない。労政審はこの三者が同数の10人ずつで構成され、その合意については、大臣も事実上、口をはさめないという「別格」の審議会なのだ。
安倍晋三内閣は官邸主導で「働き方改革」を掲げ、政策を実行しようとしてきた。だが、首相官邸だけでは仕事が終わらない。厚生労働省に法律案を作らせ、国会で成立させなければならないのだ。厚労省で法律案を作るとなると、出て来るのが労政審ということになる。政治の意思で働き方改革のメニューを作りあげても、労政審がウンと言わなければ法律案は出来上がらない。これまでも経済財政諮問会議や、自民党から「労政審改革」を求める声が挙がって来た。それを受けてまとめられたのが昨年12月の、「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」報告書だった。
そこでは、三者構成にとらわれない体制で議論すべきだとしたのだ。そして審議会の下に「労働政策基本部会」を設置することを提案したのだった。
労働系官僚の多くは今も「三者合意」を金科玉条のように感じている人が少なくない。三者合意の前提を崩せば、労働者が不利益を被ることになると考える労働官僚がベテランになるほど多い。7月31日に公表された基本部会の委員は12人。12人の内訳は学者5人、経営者4人、弁護士1人、エコノミスト1人それに連合の元会長である古賀信明氏だ。老若男女そろった幅広い人選だが、「基本部会運営規程」には、「委員は公益を代表するもののみとする」と書かれている。労働組合から参加しても、労働代表ではない、という扱いになっているのだ。(2017年8月16日 現代ビジネス)
出典元:厚生労働省・朝日新聞・河北新報・現代ビジネス