【3月は「自殺対策強化月間」です】
2017年2月25日
厚生労働省
―平成 29 年3月1日から3月 31 日までの1か月間は、自殺対策強化月間です。―
【ご参考】【3月は、「自殺対策強化月間」です。】厚生労働省(PDF:448KB)
ユニオンからコメント
平成28年4月1日に施行された自殺対策基本法では、毎年3月を「自殺対策強化月間」にすると定め、国などが自殺対策に集中的に取り組み、相談事業などを実施するよう規定しています。
法律が掲げる「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を実現するため、初回となる平成29年3月の自殺対策強化月間では、国・地方公共団体・関係団体が中心となって、自殺対策の啓発事業・相談事業等や支援策を実施します。
このところ減少傾向にある自殺者数ですが、平成29年1月は1743名(速報値)で、平成28年1月に比べると172名の増加でした。
【ご参考】【平成29年の月別自殺者数について(1月末の暫定値)】警察庁(PDF:88KB)
自殺問題を、職場の問題として考えると、「うつ病」と切り離すことができません。うつ病に苦しんでいる人は、世界的にも増加傾向にあることがわかりました。
【世界のうつ病患者 推計3億人超に】
世界保健機関(WHO)は23日、世界でうつ病に苦しむ人が2015年に推計3億2200万人に上ったと発表した。全人口の約4%に当たり、05年から約18%増加した。
世界的に一般的な精神疾患になりつつあり、若年層の自殺増にもつながっているとして、早急な対策が必要だと指摘した。地域別ではインド、中国を抱えるアジア・太平洋地域で全体の約48%を占め、日本は約506万人。厚生労働省によると、うつ病など気分障害で医療機関を受診している人は約112万人(14年)だが、WHOの統計は専門家による推計値のため、医師にうつ病と診断された人以外も含んでいる。(2017年2月24日 毎日新聞)
さらに、WHOは、2015年の世界の自殺者は推計で78万8000人とし、そのうち、うつ病を死因とするのはおよそ1.5%で、15歳から29歳の若年層の2番目の死因となっていると公表しています。うつ病そのものの予防・治療も大切ですが、うつ病になった人の自殺を防ぐことも大切です。
【新任教師自殺「公務が原因」の判決 苦情対応でうつ病に】
東京都西東京市の市立小学校で2006年、新任の女性教諭(当時25)が自殺したことをめぐり、両親が地方公務員災害補償基金に対し、公務災害と認めなかった処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(後藤博裁判長)は23日、一審に続いて「自殺は公務が原因」と認め、処分を取り消した。判決によると、女性は同年4月に着任。2年生の学級担任になったが、保護者からのクレームなどへの対応が相次ぎ、7月にうつ病と診断された。10月に自殺を図り、約2カ月後に死亡した。(2017年2月24日 朝日新聞)
これまで多くの人が、職場での過労・ハラスメントに苦しみ自らの命を絶っています。労災や損害賠償など、自殺後の報道を見ていると、「うつ病になってから3~6ヶ月経過した頃、自殺に及んでいる人が多い」ことに気づきます。
つまり、その期間がもっとも大事だということです。
うつ病と診断された、うつ病が疑われる状態から、3~6ヶ月の間に、職場や家族が異変に気づいて救うことができるかにかかっています。
そのためには、本人の「大丈夫です」を疑うことも必要です。
「誰がどう見たって大丈夫じゃない」そんな状態なら、本人の言葉を信じないことも大切です。「大丈夫?」と聞くのではなく、病院に連れて行く。少し強引ともいえるその行動が本人の心に伝わり、立ち直るきっかけになり得るのです。
また、自分自身が注意することも重要です。すべきことは、「自分を疑う」ことです。
「みんな頑張っているから」と感じている人なら、「自分はもうダメかも知れない」と考えてみる。「自分はまだ大丈夫」と思っている人なら、「もう無理かも」と思ってみる。そうしながら、正確に自己分析する習慣を身に付けることも予防には必要です。
心理学者のガイ・ウィンチという人が「身体が傷ついたときに、同じ傷口をさらに傷つけようとする人は滅多にいない。ところが、心の場合には、傷ついた箇所を自分で繰り返し傷つけてしまっている」と指摘しています。
例えば、職場でミスをした人が、「何であそこでミスしたのか」といつまでも後悔する。
上司に叱責された人が「ああ、明日も顔合わせなければいけないのか」と毎日憂うつな気分になる。これを繰り返すことで、同じ傷口を自分で傷つけているというのです。
心理学者は、このときの精神状態が「もっとも心に悪影響を与えている」と分析しています。そして、そんな気持ちになったとき、「2分間、違うことに集中する」だけで、深刻な精神疾患を避ける効果があると検証しました。
その2分間は、運動でも、読書でも、スマホのゲームでもいいようです。「最近、憂うつだ」など、少しでも思い当たる人は一度試してみてはどうでしょう。多くの人が、「自分で気づくことができず」自殺に及んでいます。自分を過信しないことも予防策の一つになります。
出典元:発表厚生労働省・警察庁・毎日新聞・朝日新聞