【春闘本格スタート、労使トップが会談、3%賃上げ焦点】

2018年1月23日
毎日新聞

経団連の榊原定征会長と連合の神津里季生会長は23日、経団連会館(東京都千代田区)で、労使のトップ会談を開き、平成30年春闘が本格的に始まった。今春闘は、安倍晋三首相が3%の賃上げを経済界に要請するなかで、これまでよりも一段と高い水準での賃上げを実現できるかが焦点になっている。

会談で榊原氏は「3%の賃上げを社会的な期待として意識し、前向きに対応していきたい」と、会員企業に踏み込んだ賃上げを求める方針を改めて示した。

神津氏は「昨年は中小企業の賃上げ率が大手を上回り、非正規形態で働く人が正規よりも高いアップ率を引き出せた。この動きを社会全体の動きに広げたい」と、今年も昨年に引き続き、底上げを重視した交渉を進めることを強調した。

長時間労働是正や非正規労働者の待遇改善など働き方改革も今春闘の大きなテーマだ。
政府は22日召集の通常国会で関連法案の成立を目指すが、榊原氏が「関連法案に対応した企業の事前の対応が重要で、(関連法成立後の)スムーズな立ちあげに取り組むべきだ」と指摘。神津氏も「労使交渉で働き方改革の実行に向けた協議が重要で、これを日本の共有財産にしなくてはならない」と語り、春闘の大きな論点との認識を示した。

今春闘は、各労働組合が2月中旬にも要求書を会社側に提出。3月中旬の集中回答のヤマ場に向け、各労使の交渉が本格化していく。

ユニオンからコメント

2018年度の春闘が開始したというニュースです。最大の焦点が「3%の賃上げ」とされています。異例の事態と称される「官製春闘」も5年連続になりそうです。

【ご参考】【賃上げ「年収ベースで」 榊原経団連会長、ベアに慎重】

【ご参考】【春闘 賃上げ余力乏しく】

3%をめぐる攻防ばかりがクローズアップされているなか、大幅な賃上げに踏み切る企業も出てきました。

【太陽生命、8%賃上げ 営業職員対象 オリックスは3%超】

太陽生命保険は17日、営業職員の報酬を平均8%引き上げることを明らかにした。全体の約6割を占める入社4年目以降の中堅については、12%引き上げる。営業職員の報酬増額は2年連続。安倍晋三首相が期待する「3%賃上げ」を大幅に上回る水準となった。
一方、オリックスは同日、グループ14社の社員約1万人を対象に、月額1万円のベースアップを4月から実施すると発表した。定期昇給を含めた月額ベースで平均約3.3%の賃上げとなる。管理職以外の社員は約5.4%の引き上げになり、新卒の初任給も職種ごとに1万円上げる。(2018年1月18日 産経新聞)

安倍首相が「経済界に要請」し、経団連会長が「社会的な期待として前向きに対応する」と答え、連合会長が「社会全体の動きに広げたい」と言う3%の賃上げが、見劣りしてしまうほどの上昇率です。人手不足や物価上昇にどのように立ち向かうのか、それぞれの企業が独自に取り組んだほうが大胆な施策を打ち出せるのかもしれません。

出典元:毎日新聞・産経新聞