【高齢者、視覚障害者の生活支援 IoT活用製品で便利に】

2017年9月1日
産経新聞

あらゆる物をインターネットでつなぐIoT(アイオーティー)を活用した身近な製品が注目されている。通信機能のあるつえ、文字を音声で読み上げる端末など、高齢者や視覚障害者らの生活を支援する商品を若手の研究チームやベンチャー企業が開発している。

IoTは、英語の「Internet of Things」で、利便性を高めるため家電製品や自動車など全ての物をネットに接続する取り組み。

若手技術者らのチーム「コミュニケーション スティック プロジェクト」が開発を進める高齢者向けのつえは、道に迷ったり転倒したりした際に、家族や介護者に位置情報などを伝える通信機能を備えた製品だ。

利用者が転倒したときの検知や、「助けて」といった音声を文字に変換して介護者にメールを送る仕組み。三枝友仁代表は「転倒や事故の不安から外出を控える人が、安心して出掛けるきっかけとなれば」と話す。事故の際に駆けつけるサービスも盛り込みたい考えだ。1本2万円前後で一般販売を目指している。

「OTON GLASS(オトン・グラス)」(東京)は、眼鏡型のウエアラブル(身に着けられる)端末を開発、販売している。視覚障害者や文字を読むことが苦手な人らが対象だ。端末のカメラで撮影した文字を、ネット上の認識技術で音声に換えて読み上げる。利用者はイヤホンやスピーカーから音を聞くことができる。

島影圭佑社長は「父親が脳梗塞の後遺症で言語に障害が残ったことが開発のきっかけだった。文字を読むことが困難な人の日常生活をサポートできれば」と語った。

利用者からは「人に頼らずに文字を読めるのがうれしい」といった声が寄せられている。
現在は受注生産で施設などに販売、平成31年には海外展開する方針だ。

ユニオンからコメント

IoT(アイオーティー)を活用して、高齢者や視覚障害者の生活を支援する製品をベンチャー企業らが開発しているというニュースです。

メガネが音声を読み上げる技術は視覚障害者にとって朗報です。例えば、自動車がぶつからない技術を、視覚障害者の持つ白杖に応用するような時代もそう遠くないのでしょう。
IoTを活用した製品は、世界中で注目を集めているようです。

【IFAが1日開幕 音声対応のIoT家電に注目】

欧州最大の家電見本市「IFA2017」の一般公開が1日、ドイツのベルリンで始まる。家電メーカー各社があらゆるモノがネットにつながる「IoT」関連の製品を多数出品している。独ボッシュは冷蔵庫内に小型カメラを設置し、外出先からスマートフォン(スマホ)などで庫内を確認できる技術を展示。会話型の人工知能(AI)を搭載する米アマゾン・ドット・コムのスピーカー「エコー」と連携して、オーブンや照明などを音声で操作するシステムもある。韓国サムスン電子は会話型AIを搭載した冷蔵庫を英国なまりの英語やドイツ語、フランス語、イタリア語に対応させることを明らかにした。料理の作り方を聞いたり、庫内の映像をディスプレーに表示するよう指示したりできる。このほか仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の展示に注目が集まる。(2017年9月1日 日本経済新聞)

AIやIoTなどの新技術は「第4次産業革命」の名のもと、私たちの生活に身近なものになりつつあります。総務省が公表した「情報通信白書」は、社会的な課題として利用者の不安を解消することを企業に求めました。

【今年はビッグデータ利活用元年、企業は説明責任を】

総務省は28日、2017年版の「情報通信に関する現状報告」(情報通信白書)を公表した。今年を「ビッグデータ利活用元年」と位置付け、その利活用の重要性を指摘する一方、個人情報の取り扱いに対する国民の不安は依然根強いとして、企業により一層説明責任を果たすよう求めた。人工知能(AI)やすべてのモノがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)がけん引する「第4次産業革命」を展望するとともに、データや情報通信技術(ICT)の利活用による社会的課題の解決などについて分析した。
ビッグデータについては、今後はデータの利活用が加速すると予想、「ビッグデータ利活用元年」になるとの見方を示した。ただ、ビッグデータを巡っては、企業が利活用に意欲を持つ一方で、個人はパーソナルデータの提供に不安感を抱いていることも調査でわかった。総務省の「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」によると、データの提供に不安を感じている人は全体の8割を超え、企業と認識にギャップがあることが浮き彫りとなっている。こうした状況を踏まえ、白書は企業がより一層個人に対する説明責任を果たし、利用者の理解・認識を高めることが重要だと結論付けた。また、データ利活用の重要性を指摘する一方で、データ寡占化により顧客が特定の製品やサービスに固定化され囲い込まれる「ロックイン効果」が生じた場合、競争環境が阻害される可能性について懸念も示した。(2017年7月28日 ロイター)

【ご参考】【「2017年版 情報通信白書」の概要】総務省(PDF:2.27MB)

「ロックイン効果」とは、あるメーカーのテレビを購入した人が、買い換えるときにも同じメーカーのテレビを購入するような効果のことをいいます。「お店の人が親切にしてくれたから」のように、義理を感じてといった心理が作用することもあります。

「ビッグデータ」は、普通に処理出来ないほど膨大・複雑に集められたデータのことです。
総務省の調査に8割以上の人が漠然とした不安を感じていると答えましたが、その理由は、経済産業省の報告書に書かれた「自分で選択しているつもりが誰かに操作されている?」「自分で情報を選択しているつもりが、実は誰かに操作されているとしたら?」(P.42~P.47)といったイメージを拭えないからなのでしょう。

【ご参考】【不安な個人、立ちすくむ国家】経済産業省(PDF:19.3MB)

多くの人が感じる不安の正体は、あらゆるデータが一つの会社に集まることで、気づかないうちに「その会社にコントロールされてしまうのではないか」という不信感なのかも知れません。その不安が的中したようなニュースがいくつか報道されています。

【「広告と気付かれず宣伝表示可能」 ヤフー、不適切な説明削除】

ヤフーがインターネット通販サイト「ヤフー!ショッピング」の出品者向け専用サイトで、広告であることを隠しながら宣伝を表示できるとの不適切な説明を記載していたことが29日、分かった。ヤフーは「(宣伝と気付かれずにPRする)〝ステルスマーケティング(ステマ)″を推奨するような不適切な内容だった」と認め、削除した。不適切としたのは、利用者が検索キーワードを打ち込んだ後に表示される商品のうち、上位に表示される「アイテムマッチ」という検索結果についての説明。出品者が支払う広告料金次第で、該当する商品の情報が画面の上位に表示される。消費者は、アイテムマッチという言葉をクリックしないと、広告料によって検索結果が左右されているとはわからない。広報担当者は「ステマを示唆し不適切だった」と認めた。(2017年6月30日 東京新聞)

【「パズドラ」広告で不当表示 消費者庁、ガンホーを処分】

スマートフォン向けゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)の広告で、実際の仕様とは違う不当な表示をしたとして、消費者庁は19日、供給元のガンホー・オンライン・エンターテイメント(東京)に対し、景品表示法違反(優良誤認)で再発防止などを求める措置命令を出した。発表によると、同社は2月に実施したサービスで入手できるキャラクター13体について、インターネット上での番組で、より強く育つ能力があると宣伝していたが、その通りに強くなるのは2体だけだった。消費者庁は同日、別のオンラインゲームを供給するグリー(東京)に対しても、懸賞企画をめぐり不当な表示があったとして同法違反(有利誤認)で措置命令を出した。(2017年7月19日 朝日新聞)

【<ソフトバンク>消費者庁が措置命令 おとり広告で】

ソフトバンクが昨年展開したキャンペーンに景品表示法違反(おとり広告)があったとして、消費者庁は27日、再発防止を求める措置命令を出した。実際には購入できない状態の商品を、あたかも購入できるかのように不当に宣伝したとしている。ソフトバンクは昨年11月3~13日の「いい買物の日キャンペーン」で、米アップル製の腕時計型端末「アップルウオッチ」を1万1111円の特価で店頭販売すると告知。消費者庁によると、ほとんどの店舗に商品の在庫がなく、大部分の客が購入できない状態だった。対象となった「アップルウオッチ」は旧型で、在庫処分だった。(2017年7月27日 毎日新聞)

ビッグデータを寡占的に取り扱う企業に課される責任と義務は、個人データを「人知れず集めない」「断りなく使わない」「悪用しない」といったことでしょう。「不適切だった」で済ませてしまわない、高い倫理感と法令順守の精神が求められます。

IT最大手のソフトバンクでは、孫社長の講演での発言が取り沙汰されています。最先端企業のトップから発せられたのは、「ばかにしている人は追い抜かれる」と不安を煽り、視覚障害者を「めくらの人」と呼ぶ、どちらも前時代的な発言でした。インターネットの心ない書き込みに傷つく人がいても、「利用規約に沿って」削除しない会社の代表者なのですから、社会の「利用規約に沿って」発言する心がけをどうか忘れないでください。

【孫社長「Pepperをばかにする人は、Pepperに追い抜かれる」】

ソフトバンクグループの孫正義社長が「Pepperをばかにする人は、Pepperに追い抜かれる」と7月20日、都内で開いたイベントの講演でそう話した。近年、囲碁や将棋では、AIが人間のプロ棋士を相次いで撃破している。孫社長は「囲碁、将棋だけでなく、あらゆる推論、記憶など、人間がおよそ考える能力を、AIがはるかに超える。そのことは疑う余地がない」と強調する。AIが人間よりも賢くなる時代は、望む望まないによらず到来するとして、「Pepperはただの操り人形だと、思ってもらうのは結構。そんなものは入口にすぎない。これからPepperが進化していく中で、いまばかにしている人々は、Pepperに追い抜かれる現実を見ることになる」。(2017年7月20日 ITmedia)

【ソフトバンク孫社長、講演で不適切発言】

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は20日、東京都内での講演で、視覚障害者のことを「めくらの人」と発言した。孫氏は終了後、「差別する意図は全くなかったものの、不適切な発言がありました。一部の方々に不快な思いをさせてしまいましたことを深くおわび申し上げます」とのコメントを出し、発言を撤回した。(2017年7月20日 朝日新聞)

出典元:産経新聞・日本経済新聞・ロイター・総務省・経済産業省・東京新聞・朝日新聞・毎日新聞・ITmedia