【失業手当、来年度引き上げ=1日100~200円―厚労省】

2016年9月13日
時事通信

厚生労働省は12日、失業中に雇用保険から支給される1日当たりの失業手当を、2017年度から大幅に引き上げる方針を固めた。
企業が従業員に支払わなければならない最低限の賃金「最低賃金」の上昇を踏まえ、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の雇用保険部会で年内に決める。上げ幅は、少なくとも100~200円程度になる見込み。
1日当たりの失業手当は、離職前の6カ月間平均の賃金「賃金日額」に、賃金水準に応じて異なる給付率(45~80%)を乗じて算出する。現在の失業手当は週20時間働くパートタイム労働者らを対象とした1832円が最低額で、最高額は6370~7775円と年齢によって異なる。
賃金日額は下限と上限が定められており、下限は最低賃金を上回ることを原則としている。今年10月以降に適用される16年度の最低賃金(全国平均時給)が前年度比25円増の823円へ引き上げられ、最低賃金(週20時間労働の日額ベースで2351円)が賃金日額の下限(現在2290円)を上回ることになった。逆転現象を解消するため、賃金日額の下限を底上げし、併せて上限も上げる。給付率は変わらない可能性が高く、失業手当は最低額、最高額ともに100~200円程度引き上げられる見通し。

 

給付日数増は厳しく=失業手当増額も-労政審

2016年9月12日
時事通信

厚生労働省は、最低賃金の上昇に伴い1日当たりの失業手当を大幅に引き上げる方針を固めた。離職者の再就職支援では、労働者側が失業手当の所定給付日数の増加も求めているが、使用者側が反発しており、難しそうだ。
政府は労使が折半で負担する保険料や、国庫負担金を2017年4月に引き下げるため、過去最大の6兆円超に上る保険料の積立金を活用する方針。ただ、積立金の増加は、雇用情勢の改善に加え、積立金が払底しそうになった2000年代初頭に自己都合で離職した人の給付日数を減らすことなどで支出を抑制した影響も大きい。
労働者側は5日の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)雇用保険部会で、過去の支出抑制について「積立金の枯渇という切迫した状況でやむなく下げた」(村上陽子連合総合労働局長)と強調。「雇用情勢の改善を受け、下げたものは少しでも戻すべきだ」(同)と訴えた。 一方、使用者側は失業手当を受け取った人の再就職状況に関する最新データを踏まえ、「過去の制度改正は再就職状況に影響を与えていない」(遠藤和夫経団連労働政策本部副本部長)と、政策効果に疑問符を付けた。給付日数増加をめぐっては、昨年の雇用保険部会でも労使が対立し、増加が見送られた経緯がある。野川忍明大法科大学院教授は「同じ議論が続いており、現状を変えたい方から『なるほど』と思わせる意見が出ると少し変わる」と指摘。労働者側が現在の主張を繰り返すだけでは給付日数の増加は困難との見方を示した。

【ご参考】雇用保険の基本手当日額が変更になります ~平成 28年8月1日から~(PDF:144KB)

【ご参考】第115回 労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料(平成28年9月5日開催)

ユニオンからコメント

最低賃金が大幅に引き上げられるので、1日当たりの失業手当も大幅に引き上げなければならなくなりました。しかし、失業手当の給付日数については労使が対立したままだというニュースです。

はたらいている精神障害者のおよそ40%が3か月で離職していると2009年に報告されました。それだけ離職・再就職を繰り返す人が多いということです。
失業期間の生活を支える失業手当については、就職活動そのものに大きく関わる問題です。
ソーシャルハートフルユニオンでは、この審議会の経過について引き続き注視して、情報を発信していきます。

出典元:時事通信・厚生労働省発表