【障害者数936万人 人口の約7.4%に】

2018年4月10日
朝日新聞

厚生労働省は9日、体や心などに障害がある人の数が約936万6千人との推計を公表した。前回2013年の推計(約787万9千人)より、約149万人増えた。日本の全人口に占める割合も、約6.2%から約7.4%に増えた。

14~16年に実施した障害者への生活実態調査からの推計で、身体障害者は約436万人(前回より約42万3千人増)、知的障害者が約108万2千人(同約34万1千人増)、精神障害者が約392万4千人(同約72万3千人増)。

いずれも高齢者が増加傾向にあり、65歳以上の割合は身体障害者の74%(前回推計では69%)、知的障害者が16%(同9%)、精神障害者が38%(同36%)だった。厚労省は高齢化の進行に加え、障害への理解が進んで障害認定を受ける人が増えたことも増加要因と分析している。

ユニオンからコメント

厚生労働省が、平成28年「生活のしづらさなどに関する調査」の結果を公表しました。

【ご参考】【平成28年生活のしづらさなどに関する調査 結果の概要】厚生労働省(PDF:400KB)

【ご参考】【障害者の数】厚生労働省(PDF:96KB)

平成29年7月に公表された内閣府「平成29年版 障害者白書」によると、身体障害者392万2千人、知的障害者74万1千人、精神障害者392万4千人となっていましから、精神障害者数はそのままで、身体・知的障害者数だけが増加しているように見えます。

【ご参考】【平成29年版 障害者白書 障害者の状況】内閣府(PDF:540KB)

こうなってしまう理由は、障害者白書の基になっているデータの違いです。身体・知的障害数については、今回公表された厚生労働省「生活のしづらさなどに関する調査」を基に、精神障害数については、厚生労働省「患者調査」を基に作成されます。平成28年「生活のしづらさなどに関する調査」結果が公表されたため、身体・知的障害数が増加しているということです。

一方、精神障害者数を推計する「患者調査」は、平成29年9月から11月にかけて実施されました。前回、「平成26年患者調査」の結果が公表されたのは平成27年12月17日でしたから、「平成29年患者調査」の結果が公表されるのは平成30年12月頃になります。

この結果によっては、精神障害者数が大幅に増加し、今年の年末には「障害者数1000万人超」といった報道を目にするかもしれません。全体人口は減少傾向ですから、人口に対する比率は高まります。いずれ障害者数が「人口の10%」といった時代になるでしょう。

【ご参考】【人口推計(平成29年10月確定値、平成30年3月概算値)】総務省統計局

調査結果や推計を見ていくと、「障害者雇用」が特別なことではなく、ごく当たり前のことになっていくのだろうと想像できます。これからは、障害当事者・人事労務担当者だけの課題ではなく、すべての人にとって身近な問題という意識を持つ必要があるでしょう。

雇用率達成だけに目を向けるのではなく、雇い入れた障害者がどうすれば長くはたらけるのか、職場の仲間としてどのように受け入れるのか、そんな職場環境作りを模索していく作業には思いがけない効果も期待できます。例えば、政府が積極的に導入を目指しているテレワーク・在宅勤務、解禁されつつある副業・兼業などは実現に知恵と工夫が求められます。雇った障害者が長くはたらける取り組みには、これら施策の実施に共通するヒントが数多くあるはずです。

【五輪見据え「テレワーク・デイ」 混雑緩和・働き方改革へ、広がるか】

東京五輪の開会式まで3年となった24日、会社に出勤せず自宅などで働くことを政府が呼びかける「テレワーク・デイ」が初めて実施され、官公庁や民間企業900社超(総務省調べ)が参加した。五輪期間中の道路や交通機関の混雑緩和が狙いだが、「働き方改革」にもつながる。テレワークが広がるきっかけになるか。
7月24日を「テレワーク・デイ」にすると発表した総務省ではこの日、約900人が登庁せずに自宅などで仕事をした。NTTデータでもこの日、首都圏に勤務する7600人がテレワークや時差通勤を利用した。日本航空のテレワークは原則として勤務場所を自宅に限っているが、今年から7~8月は旅行先でも仕事をしたとみなすしくみが採用された。旅先でウェブ会議に出席できる。(2017年7月25日 朝日新聞)

【「副業」相次ぎ解禁 ユニ・チャームなど 人材獲得、流出防止へ】

社員の副業を認める大手企業が増えている。ユニ・チャームは3日、入社4年目以上の正社員を対象に1日付で制度を導入したと発表。新生銀行も大手銀行で初めて解禁した。情報漏洩(ろうえい)や長時間労働につながるとして慎重姿勢が目立っていたが、柔軟な働き方を認めれば優秀な人材の獲得や流出防止につながるため、企業は一定の条件を付けて容認する方向へかじを切りつつある。
ユニ・チャームの新制度は正社員約1500人が対象。個人の技能向上や成長につながる内容が条件で、就業時間外や休日に限り認める。同社は社員が職場と異なる環境に身を置くことで、「新たな専門性を身につけたり、人脈を広げたりすることを期待したい」と話す。副業は、新生銀も嘱託を含む2700人の行員を対象に制度を導入。外部の知見や経験を身に付けたいとの要望に応じた。昨年12月から導入し、「会社にイノベーション(革新)をもたらす」ことを条件にしているコニカミノルタでは、3月末までに11人が認められた。このほか、カゴメも平成31年に導入する予定だ。これまで就業規則に副業禁止を明記していない企業はあったが、制度を設けているのはヤフーなど少数にとどまっていた。ただ、社員側にも収入が増えるといったメリットがあるほか、政府も働き方改革の一環として副業を推進しており、今後も解禁の動きが続きそうだ。(2018年4月4日 産経新聞)

出典元:朝日新聞・厚生労働省・内閣府・総務省統計局・産経新聞