【<衆院選>株価、上がったけれど・・・非正規増加「実感ない」】

2017年10月11日
毎日新聞

衆院選では安倍政権の経済政策「アベノミクス」への評価も争点になっている。
衆院解散後も、日経平均株価は2012年12月に第2次安倍政権が発足した時の1万230円の約2倍となる2万円台を維持するが、投資家は選挙後の政治の流動化を心配する。株高や景気回復の恩恵を受けているのは一部の富裕層にとどまっており、格差是正を求める声も上がっている。

衆院が解散した先月28日午後。日経平均株価は前日終値から約100円上がり、2万370円前後で推移した。東京都中央区にある証券会社店頭の株価ボード前には市場の反応を確認する人たちの姿が目立った。港区の元会社役員の男性(79)は「アベノミクスで株価が上昇した点は評価されるべきだ」と強調した。

男性は株式など1億円を超える金融商品を保有する。08年のリーマン・ショックで株価が一時7000円台に低迷した際には大幅に目減りしたが、現在はリーマン・ショック時の損失を取り戻して利益が上回っているという。だが、男性の心配はつきない。「希望の党が誕生するなどして自民党政権が続くかどうか・・・。経済政策が転換されれば、下落局面になるかもしれない」と口にした。

同じ株価ボードを眺めていたさいたま市の男性(61)は冷ややかだ。定年退職後、株を少し保有しているものの、コンビニエンスストアでアルバイトをして生活を維持している。「株価が上がっても(バイト先の)賃金が上がるわけではなく、景気が回復した実感なんてない」とため息をつく。

求職者1人に求人が何人あるかを示す有効求人倍率は、第2次安倍政権発足時は0.83倍だったが、今年8月には1.52倍と43年ぶりの高水準を記録した。失業率も同様に4.3%から2.8%に改善した。だが、非正規労働者は約2054万人に上り、働く人全体に占める割合は37.5%と、政権発足時より2.2%も増えた。

国税庁の調査では、民間企業で働く正社員の平均給与は486万9000円、非正規は172万1000円。両者の差は314万8000円あり、分析を始めた12年以降、4年連続で格差が拡大している。

大手証券会社のエコノミストは「正社員の給与も伸び悩んでおり、雇用形態と賃金を改善しなければ消費は伸びない。選挙後の政局がどうなるか、今は市場も様子見している状況ではないか」と分析している。

ユニオンからコメント

2017年10月22日は、第48回衆議院議員総選挙の投票日です。

テレビニュースでは、「GDPが増えた」「株価が上がった」「求人倍率が高くなった」と安倍首相が演説で訴えている姿が繰り返し流されています。これらは、自民党の公式ホームページにも安倍政権の実績として大きく掲載されています。

【ご参考】【2017年 衆院選特設サイト】自由民主党

GDPについて、2016年12月から国際基準が新しく改定され「計算方法が変わったことで自然にGDPが増加してしまう」ことを紹介しました。

【ご参考】【<GDP>景気、依然綱渡り・・・年2.2%増】

また、株価については、日銀や年金の資金が買い支えている側面があり、不健全な「官製相場」との指摘があることも紹介しています。

【ご参考】【公的マネーが大株主 980社】

高い有効求人倍率について、「カラクリがあるので公表された数字を鵜呑みにしてはいけない」という記事が掲載されていましたので紹介します。

【数字の裏にカラクリあり 有効求人倍率「1.52倍」の実態】

「43年ぶりの高水準」――。こんな威勢のいい言葉が躍っている。厚労省が7月の有効求人倍率が1.52倍だったと発表した。1974年2月以来、43年5カ月ぶりの高水準だ。有効求人倍率は仕事を求めている人ひとりに対し、企業から何人の求人があるかを示す数字。倍率が高いほど仕事がたくさんあることになり、1.52倍はまことにけっこうだが、そこには裏がある。立教大教授の郭洋春氏(経済学)が言う。
「有効求人倍率は正社員だけではないのです。パートや期間工、派遣社員も含まれます。その実態は、コンビニや飲食業界は人手が足りず、銀行やIT企業は希望者が多すぎて仕事が足りないという、いびつな構成になっています。実際、今年の銀行の新卒採用は昨年より減少しました」。
■採用する体力もないのに・・・
そもそも有効求人倍率には裏がある。「いわゆる『カラ求人』というのがあるのです。長年求人募集をしていないと、〝あの会社は景気が悪いのでは?″と思われるため、採用する体力もないのにハローワークなどに募集を出す。ライバル社が求人しているのを見て〝うちも出そう″と募集するケースもあります。だけど採用する気はありません」(郭洋春氏)
転職に詳しいジャーナリストもこう言う。「各ハローワークには『求人開拓員』がいて、企業を回って求人募集を取ります。その際、企業によっては単なる付き合いで『経理マン募集』などと出すことがありますが、よほど優秀な人材が来ないかぎり採用しません。それでも求人倍率を押し上げることになる。『求人開拓員』は清掃などの仕事よりも一般事務を取ると成績としてカウントされやすい。一般事務の採用をたくさん取ったハローワークは厚労省から評価されます」。有効求人倍率はウソまみれか・・・。(2017年9月1日 日刊ゲンダイ)

現在、人手不足であることは間違いないので、求人倍率が高くなるのは当然です。しかし、(倍率が高くなったこと=景気が回復)ではないことには注意が必要です。世界的に見ると、先進国においては高い成長率が今後見込めないことは明らかです。このような世界情勢のもとでは、政府の冷静な分析や真摯な検証こそが重要です。教育の無償化も大切なことですが、来年度以降に訪れるであろう低成長による金利上昇や為替変動などにどう対応するのか。これまで通りの、成長ありきの経済政策が行き詰まれば、私たちの暮らしは深刻な局面を迎えてしまいます。

【成長率3.6%に上振れ IMF世界予測、日本1.5%】

国際通貨基金(IMF)は10日改定した世界経済見通しで、2017年の成長率を3.6%とし、7月時点の予測から0.1ポイント引き上げた。日本を0.2ポイント上方修正して1.5%成長とするなど、先進国の投資や貿易の改善を評価した。世界の成長率は18年も3.7%に上振れすると予測するが、物価や生産性の停滞といった課題は残る。
日本は世界貿易の拡大で輸出が底堅く伸びたほか、16年度第2次補正予算の執行が進んで、17年の成長率が上振れすると見込んだ。ただ、財政効果がなくなる18年は成長率が0.7%に減速すると予測している。(2017年10月10日 日本経済新聞)

誰に投票すればいいか、どの党に投票しようか、とても難しい判断を迫られる今回の選挙ですが、私たちにとって何より大切なのは「投票に行く」ことです。投票先は投票所の記入台の前に立ってから決めても遅くありません。各政党のホームページ(※順不同)には、それぞれの党が訴えている内容が掲載されています。じっくり見比べることも、判断する一つの材料になります。

【ご参考】【公明党】

【ご参考】【希望の党】

【ご参考】【立憲民主党】

【ご参考】【日本共産党】

【ご参考】【日本維新の会】

【ご参考】【社民党】

【ご参考】【日本のこころ】

出典元:毎日新聞・自由民主党・日刊ゲンダイ・日本経済新聞・公明党・希望の党・立憲民主党・日本共産党・日本維新の会・社民党・日本のこころ