【非正規比率、37%に上昇=人手不足を反映】

2017年9月19日
時事通信

厚生労働省は19日、2016年(10月1日時点)のパートタイム労働者総合実態調査の結果を発表した。

従業員に占める非正規社員の比率は37.2%で、5年前の前回調査に比べ2.8ポイント上昇した。このうち、パートの割合は0.4ポイント増の27.4%だった。同省は「深刻な人手不足で、正社員の代替要因を確保する動きが増えている」と分析している。

前回調査では東日本大震災で被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県を調べておらず、この時と同じベースでは非正規社員の比率は38.1%だった。

非正規社員の比率は、男性が2.3ポイント上昇の22.6%、女性が0.6ポイント上昇の55.0%。産業別では、宿泊・飲食サービス業が68.7%と最も高かった。

この調査はほぼ5年ごとに実施。今回は常用労働者5人以上の事業所約1万7000カ所を対象に行い、有効回答率は58.4%だった。 

ユニオンからコメント

厚生労働省が「パートタイム労働者総合実態調査」の結果を公表したというニュースです。

【ご参考】【平成28年「パートタイム労働者総合実態調査」の結果】厚生労働省(PDF:228KB)

サブタイトルとして「~パートの7割超は今後もパートで仕事を続けたいと希望~」と掲げられています。調査結果から「ほとんどの人が自ら非正規で働くことを選び、それを続けたいと考えている」と言わんばかりの公表の仕方です。本当にそうなのでしょうか。公表されているデータを詳しく見ていくと、数字の意図的な操作が見え隠れします。

【ご参考】【平成28年パートタイム労働者総合実態調査の概況】厚生労働省

【ご参考】【個人調査 仕事についての考え方】厚生労働省(PDF:372KB)

例えば、今後もパートで働きたいと答えた割合は、「15~19 歳(96.3%)」、「65歳以上(88.8%)」が平均値を引き上げています。学生にこのような質問をすれば卒業・就職するまではパートで働きたいと答えるに決まっているでしょう。事実、20~24歳では「正社員になりたい」と答えた人が56.5%に上りました。「パートで仕事を続けたい」20~24歳は32.5%に過ぎませんから、「7割超は今後もパートで仕事を続けたいと希望」には少々無理があります。

また、パートで働くことを選んだ理由も「正社員として採用されなかったから」、「正社員としての募集が見つからなかったから」と答えた25~29歳は44%に上ります。そして半数以上の人が「現在の会社や仕事についての不満・不安がある」と答えています。つまり、調査結果からは、20代の若者が不本意な思いで非正規で働いている現状や、正規・非正規の不合理な格差に不満を持つ人が多い実態がはっきりと浮かび上がっています。

非正規労働をめぐる問題の本質は、働き盛りの若者やシングルマザー家庭の貧困解消です。
子どもや高齢者にまでアンケートをお願いして、「みんな非正規で働きたがっている」では、最初から不都合な真実を隠蔽する目的で行われた調査ではないかと疑わざるを得ません。政府の目指す「同一労働同一賃金」が、非正規労働者の待遇改善を目指すものではないという本音が透けて見える調査結果です。

【正社員と同じ職務のパートがいる職場15.7%】

厚生労働省が19日発表したパートタイム労働者総合実態調査によると、正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、正社員と職務が同じパートがいるのは15.7%だった。政府は3月にまとめた働き方改革実行計画で、正規と非正規社員との間の不合理な格差をなくす同一労働同一賃金の実現をめざしており、こうした事業所の動向に注目が集まりそうだ。業務内容や責任の程度が正社員と同じと感じているパート労働者のうち、「賃金が正社員より低い」と答えた人は6割以上にのぼった。また賃金差に納得していない労働者は33.8%だった。(2017年9月19日 日本経済新聞)

出典元:時事通信・厚生労働省・日本経済新聞