【トラック、高速道で隊列組み自動走行 政府が実験へ】

2017年2月17日
朝日新聞

政府の成長戦略をつくる「未来投資会議」(議長・安倍晋三首相)は16日、運転手が不要な自動運転車の一部を2020年度に実現するための実行計画をまとめた。
自動運転の開発競争は国際的に激しくなっていて、政府は実証実験を急ぐことで世界で優位に立ちたい考えだ。

計画の柱は二つ。一つは高速道路でのトラックの隊列走行だ。先頭車両だけドライバーが運転し、無人の後続車が自動走行で追走する。物流業界の運転手不足を解消する狙いがある。新東名高速道路で18年1月にすべての車両に人が乗った実証実験をスタートさせ、19年1月から後続車を無人に切り替える。22年度以降に東京―大阪間での商業化をめざす。

もう一つは、電車やバス路線が廃止された過疎地などでの移動支援。管制センターを設け、無人の車を遠隔操作し、住民が買い物や通院などに活用できるようにする。17年度から沖縄県などモデルとなる全国10カ所以上で実証実験を展開する。ニーズや課題などを検証しながら20年度の実現につなげる。

安倍首相は15年11月、東京五輪・パラリンピックがある20年に日本で無人自動走行を可能にすると表明。政府は二つの実験を先行させ、段階的に対象を広げる方針だ。

ただ、いずれの無人運転も、実現には事故が起きた場合の責任の所在の明確化など、様々な法律やルールの整備が必要だ。今後、政府のIT総合戦略本部を司令塔として、必要な制度整備を検討する。17年度中をめどに方針を定めた大綱を策定する。

■無人運転、競争に拍車

日本の自動車メーカーは高速道路の自動走行などの技術開発にしのぎを削りつつも、無人運転には及び腰な傾向があった。法制度や安全面の課題が多く、リスクが大きいためだ。

しかし、海外では米グーグルやウーバー・テクノロジーズといった巨大IT企業が、無人運転によるサービスの開発競争を加速。行政当局も規制緩和を進めている。

こうした動きを受け、日系メーカーにも変化がみられる。日産自動車は1月、米ラスベガスの家電・技術見本市CESで、IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)と組み、国家戦略特区で無人運転を開発すると発表。ホンダも昨年末、米グーグル系企業と無人運転の研究で合意した。

少子高齢化や過疎化が進む日本では、無人運転の潜在的な需要がある。ソフトバンク傘下のSBドライブも18年度、公道でバスの実証実験を始める計画だ。法制面などの条件が整えば、企業間の競争にも拍車がかかりそうだ。

■政府の自動運転「実行計画」

  • 【2017年度】過疎地など地方での無人自動走行による移動サービスの実験
  • 【2018年1月~】高速道路でのトラックの隊列自動走行実験。先頭、後続車両とも有人
  • 【2019年1月~】高速道路のトラック隊列走行実験で、後続車両を無人化
  • 【2020年度】高速道路の隊列走行、地方の無人自動走行ともに実用化

ユニオンからコメント

人の運転操作がいらない自動運転を、2020年までに実用化するための工程表を政府がまとめたというニュースです。

安倍首相は未来投資会議で、「2020年までに、運転手が乗車しない自動走行によって、地域の人手不足や移動弱者を解消します」と述べ、自動運転実現の事業化に向けた環境整備を加速するよう関係閣僚に指示しました。

【ご参考】【未来投資会議】首相官邸

「移動弱者」というキーワードには、視覚障害の人や車イス利用者など、様々な人が含まれます。完全自動運転の実現は、誰にとっても素晴らしい技術になるでしょう。また、実現に必要な制度・整備の方針をまとめる「大綱」の作成に、国土交通省や経済産業省、警察庁といった関係省庁が参加することには期待が持てます。
自動運転以外にも、新しいバリアフリーの技術開発が日々進んでいます。

【自律走行の車椅子=最新技術で誘導―パナソニック】

パナソニックは13日、最新技術を活用して自律走行する電動車椅子などを開発し、関係者に公開した。高齢者や障害者向けに空港などでの利用を想定。スマートフォンのアプリで行き先を指定するだけで、自動運転で目的地まで連れて行ってくれる。
センサーが人や障害物などを検知し、衝突しないように目的地まで誘導する。自分がいる場所に呼び出したり、別の車椅子や荷物カートを加えて、列になって移動したりすることも可能。事前に施設内の地図情報を登録しておき、車椅子の移動した距離や方向から現在位置を割り出す仕組み。(2017年2月13日 時事通信)

【バリアフリーなルートを検索できる地図 車いすでの移動に】

バリアフリー化が進んで要所要所にエレベータが設置されるようになったとはいえ、車いすの人や足の不自由な人の移動ルート探しは苦労する。まして、歩道の段差や工事現場などの情報は、事前に地図で調べることが難しい。そんな状況を改善するため、車いすなどで移動しやすいルートを案内するオンライン地図サービス「AccessMap」がスタートした。ワシントン大学などが参加するプロジェクトチームによって運営されている。
スロープのない段差、斜度の高い道、工事現場を避けたルートを調べられるので、車いすやベビーカーで移動する際、事前に確認できて安心だ。地図には道の斜度情報も表示されるので、より負担の少ないルートが選べる。(2017年2月9日 Cnet)

【バリアフリーマップ実用性向上に NTTのバリアフリー情報収集技術】

日本電信電話(NTT)は25日、地図上のバリアフリー情報を収集してわかりやすく表示する技術として、バリアフリーのルート選定に必要な情報を誰でも簡単に収集できる「バリアフリー情報収集技術MaPiece(まっぴーす)」と、立体地図表示を実現する「2.5D地図表現技術」の技術を開発したことを発表した。
どちらもバリアフリーのルートなどをナビゲーションするシステムの基盤技術となる。
「バリアフリー情報収集技術MaPiece」では国土交通省「歩行空間ネットワークデータ整備仕様案」を元に調査観点を選択肢として整理したもので、タブレットを使って誰でもわかりやすくバリアフリー情報の収集を可能としている。
そしてもう1つの技術となる「2.5D地図表現技術」は、既に広く作成されている平面地図やフロアマップを基にして、階層構造や施設などの特徴を反映する高さ情報を追加することで、立体地図の作成を容易とする。(2016年11月29日 RBB TODAY)

ソーシャルハートフルユニオンのサポーターをしていただいているグエン・ドクさんも「日本の高い技術や新しいアイデアが世界中から注目されている」とコメントしています。

【ドクちゃんより新年のメッセージが届きました】

「街なかを走っている自動車が完全に自動運転だった」
「バリアフリ―のルート情報を組み込んだ自律走行の車イスがあった」
2020年に日本に訪れる世界中の人々が驚くような素晴らしい技術開発が、省庁・業界の垣根を越えた取り組みのもと、実現されることに大いに期待しています。

出典元:朝日新聞・首相官邸・時事通信・Cnet・RBB TODAY